配偶者死別後の健康に男女差はあるか
6/4/2026 10:00:04
今日のポイント
→男性で死亡・認知症リスク上昇
配偶者との死別は人生で最もつらい出来事の一つだが、その影響は男女で異なるのか調査しました。千葉大学予防医学センターからの報告です。(Journal of Affective Disorders、2026年2月12日)
本研究は、日本老年学的評価研究(JAGES)の2013年、2016年、2019年の3時点データを用いた縦断研究で、要介護認定を受けていない65歳以上の自立した高齢者約2万6,000人(調査ベース)と約3万4,000人(介護保険データベース)を対象に解析しました。2013年時点で既婚であった参加者について、配偶者の死別の有無と時期に基づき、死別なし、2015~2016年に死別、2013~2015年に死別の3群に分類しました。解析では、身体・認知機能、メンタルヘルス、主観的幸福感、社会的ウェルビーイングなど7領域にわたる計37項目を対象に、配偶者死別との関連を検討しました。死亡や認知症、要介護状態については公的介護保険(LTCI)データと連結して評価し、最大約6年間の影響を追跡しました。統計解析にはロジスティック回帰分析、修正ポアソン回帰分析、重回帰分析を使い分け、多重比較に対してボンフェローニ補正を行いました。
・解析の結果、対象約2万6,000人のうち、解析開始時(2016年)に配偶者を亡くしていたのは1,076人でした。
・配偶者の死別による影響には男女差が認められ、男性では死亡リスク(3~4年後に約1.9倍)や認知症リスク(4~6年後に約2.3倍)、要介護状態に至るリスクの上昇と関連していました。
・一方、女性でも認知症や要介護状態との関連は一部でみられたものの、男性に比べて弱く、死亡リスクの上昇は認められませんでした。
・また、死別後1年以内に、男性では抑うつ症状や絶望感の増加、幸福感の低下がみられましたが、これらの影響は時間の経過とともに弱まる傾向がありました。
・これに対し女性では、抑うつ症状の増加は認められず、その後、幸福感や生活満足度、生きがいの上昇がみられました。
・社会的ウェルビーイングでは、男女ともに社会参加の増加がみられ、友人との交流や趣味・運動などへの参加が活発化しました。
・一方で、社会的支援の低下は男性のみに認められました。
・さらに、生活習慣の変化として、男性では飲酒量の増加、女性では健診受診の増加がみられた一方、座位時間の増加も確認されました。
以上より、男性では身体・認知機能の悪化や社会的支援の低下が目立つ一方、女性ではその後の幸福感向上など適応的変化がみられました。
参考文献:
Health and well-being after spousal loss among older men and women - ScienceDirect
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