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急性腎障害と造影剤

2/14/2023 10:00:03

その他

今日のポイント:急性腎障害の既往を有する患者に造影剤を使用しても腎予後に影響なし
 

米国・ジョンズ・ホプキンス大学より、急性腎障害(AKI)患者に対する造影剤静注とAKI持続の関係を調査し、造影剤は腎予後に影響がなかったことを報告しました。(Intensive Care Medicine誌オンライン版、2023年1月30日)

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2017年7月1日~2021年6月30日の間に救急受診し、入院した18歳以上の患者のうち、KDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcomes)基準のクレアチニン値に基づいてAKI(血清クレアチニン値が0.3mg/dL以上上昇もしくは1.5倍以上に上昇)と診断された1万4,449例を対象として、後ろ向きに追跡しました。
 
評価項目は、退院時のAKI持続、180日以内の透析開始などとして。傾向スコア重み付け法やエントロピーバランス法を用いて、造影剤静注あり群となし群の背景因子を調整して解析しました。

  • 対象患者1万4,449例中、12.8%が集中治療室に入室しました。
  • 造影剤静注を受けた患者の割合は18.4%、退院前にAKIから回復した患者の割合は69.1%でした。
  • 多変量ロジスティック回帰モデル(オッズ比[OR]:1.00、95%信頼区間[CI]:0.89~1.11)、傾向スコア重み付け法(OR:0.93、95%CI:0.83~1.05)、エントロピーバランス法(OR:0.94、95%CI:0.83~1.05)のいずれの方法を用いても、造影剤静注と退院時のAKI持続に関連は認められませんでした。
  • 集中治療室に入室した患者サブグループにおいても、AKI持続に関する結果は同様でした。
  • 180日以内の透析開始は対象患者の5.4%にみられましたが、造影剤静注と180日以内の透析開始リスクとの関連は認められませんでした。

 
今回の研究では、AKI患者に対する造影剤静注とAKI持続や180日以内の透析開始リスクに関連なしとなりました。

参考:Renal outcomes following intravenous contrast administration in patients with acute kidney injury: a multi-site retrospective propensity-adjusted analysis | SpringerLink

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