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手袋をつけたままの手指消毒について

1/14/2024 10:00:05

その他

今日のポイント:手袋の交換よりは効果が落ちるが、1人の患者のケア中では手袋をしたままのアルコール擦式消毒は検討余地あり


手袋をしたままアルコール擦式消毒を行うことと、ゴールドスタンダードである手袋の交換と比較しました。米国・メリーランド大学からの報告です。(Infection Control & Hospital Epidemiology誌オンライン版、2023年11月23日号)

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 成人および小児の外科、中間治療、救急治療ユニットを有する4つの病院の医療従事者を対象に、混合研究法を用いた多施設共同無作為化比較試験を実施しました。参加者は介入群(WHO推奨の5つの手指衛生タイミングで、手袋の上からアルコール消毒し、手をこする)、ゴールドスタンダード(GS)群(WHO推奨の5つの手指衛生タイミングで、手袋を外し、手指衛生を実施し、新しい手袋を着用する)、通常対応群(参加者が通常行っているとおりに手指衛生・手袋の交換を行う)の3群に無作為に割り付けられ、総コロニー数および病原性細菌の有無を評価しました。GS群と介入群および通常対応群と介入群を比較しました。
 
・GS群と介入群を比較した結果、手袋をはめた状態の手に細菌が確認されたのはGS群では641回中432回(67.4%)、介入群では662回中548回(82.8%)でした(p<0.001)。
・総コロニー数中央値はGS群では2CFU(四分位範囲[IQR]:0~5)、介入群では4CFU(IQR:1~15)でした(p<0.001)。
・病原性細菌はGS群3.9%、介入群7.3%で同定されました(p<0.01)。
・患者のケア再開までに要する時間は、GS群では平均28.7秒、介入群では平均14秒でした(p<0.001)。
・通常対応群と介入群を比較した結果、手袋をはめた状態の手に細菌が確認されたのは通常対応群では135回中133回(98.5%)、介入群では226回中173回(76.6%)でした(p<0.001)。
・総コロニー数中央値は通常対応群では29CFU(IQR:10.5~105.5)、介入群では2CFU(IQR:1~14.75)でした(p<0.001)。
・病原性細菌は通常対応群28.1%、介入群7.1%で同定されました(p<0.001)。
・通常対応群において、WHO推奨の5つの手指衛生タイミングは537回記録されましたが、そのうち手指衛生あるいは手袋の交換の実施が確認されたのは26回(4.8%)でした。そのうち遵守率が高かったのは「体液に曝露された可能性のある場合」で、低かったのは「患者周辺の環境や物品に触れた後」および「患者に触れる前」でした。
・テストされた331個の手袋のうち、6個(1.8%)に微細な穴があることが判明し、これらはすべて介入群で特定されました。
 
以上より、ゴールドスタンダード遵守の実現可能性の低さを考慮すると、WHOや疾病予防管理センター(CDC)は、1人の患者のケア中においては手袋をしたままのアルコール擦式消毒を推奨することも検討余地がありそうです。

参考:Alcohol-based decontamination of gloved hands: A randomized controlled trial | Infection Control & Hospital Epidemiology | Cambridge Core

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