男性の身長の高さとがんリスク
11/6/2025 10:00:04
今日のポイント
→39種中27のがん種において身長の高さががんリスク増加と関連
600万人以上を対象とし、性別・身長とがんの関連を検討しました。スウェーデン・カロリンスカ研究所からの報告です。(International Journal of Cancer誌オンライン版、2025年8月26日号)
本研究は、スウェーデンに居住する成人(18歳以上)で、身長が記録されている全例を対象とした人口ベースのコホート研究です。身長データは、兵役登録、出生登録、パスポートから取得し、全国がん登録および死因登録(1960~2011年)とリンクさせました。主要アウトカムは「成人身長が男性の部位別がんリスクの上昇をどの程度媒介しているか」であり、媒介生存解析を用いて推定しました。統計学的有意性は両側検定、p<0.05で評価しました。
・解析対象は615万6,659人(男性313万3,783人)、追跡期間1億1,708万1,452人年において男女共通のがんは28万5,778例で確認されました。
・平均身長は男性179cm、女性165cmで、男女いずれにおいても教育水準が高いほど平均身長が高く、この傾向は出生年を問わず一貫していました。
・男性であることは39種中33種のがんリスク増加と有意に関連し、男性で過剰がんリスクが大きかったのは(HR>2)、喫煙や飲酒と強く関連するがん種(咽頭がん、食道がん、肝がん、喉頭がん、扁平上皮肺がんなど)、職業性発がん因子と関連するがん種(尿路上皮がん、胸膜中皮腫など)でした。
・男女を合わせた解析の結果、身長の高さは39種中27種のがんリスク増加と有意に関連しました。
・男性における身長の高さによる過剰がんリスクは、喉頭がんの0.5%から、結腸がん(128%)、唾液腺がん(140%)、急性骨髄性白血病(155%)、悪性黒色腫(802%)における100%超まで幅広くなりました。
以上より、男性では悪性黒色腫、急性骨髄性白血病、唾液腺がん、結腸がんでとくに身長の高さによる過剰がんリスクが高くなりました。
参考文献:
Body height and the excess cancer risk in men - Radkiewicz - International Journal of Cancer - Wiley Online Library
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