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コロナと認知機能障害

4/11/2024 10:00:05

新型コロナ

今日のポイント:コロナ症状が12週以上持続する場合、認知機能障害の程度が大きい

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)へ感染し、症状が消失・回復しても認知機能障害が認められますが、この関係について調査しました。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンからの報告です。(NEJM誌、2024年2月29日)

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研究グループは、イングランドの試験に参加した成人80万例に対し、認知機能のオンライン評価の実施を依頼し、8タスクの全般的認知機能スコアを推定しました。感染発症後に12週間以上持続する症状を有した患者は、客観的に測定可能な全般的認知機能障害があり、とくに直近の記憶力低下または思考や集中困難(ブレインフォグ)を報告した患者では、実行機能と記憶の障害が観察されるだろうと仮説を立て、検証しました。
 
・オンライン認知機能評価を開始した14万1,583例のうち、11万2,964例が評価を完了しました。
・重回帰分析の結果、COVID-19症状が4週間未満で消失・回復した患者や12週以上症状が持続するも消失・回復した患者は、非COVID-19群(SARS-CoV-2に非感染または感染が不確定)と比較し、同程度に軽度の全般的認知機能障害を有していました(それぞれ、-0.23 SD[95%信頼区間[CI]:-0.33~-0.13]、-0.24 SD[-0.36~-0.12])。
・一方、12週以上症状が持続し、認知機能評価時点においても消失していなかった患者は、非COVID-19群と比較し、認知機能障害の程度が大きくなりました(-0.42 SD、95%CI:-0.53~-0.31)。
・起源株やB.1.1.7変異株が優勢の期間にSARS-CoV-2に感染した患者は、その後の変異株感染者より認知機能障害の程度が大きくなりました(たとえばB.1.1.7変異株vs.B.1.1.529変異株:-0.17 SD、95%CI:-0.20~-0.13)。
・また、入院した患者のほうが、入院しなかった患者より認知機能障害の程度が大きくなりました(たとえばICU入院患者:-0.35 SD、95%CI:-0.49~-0.20)。
・解析結果は傾向スコアマッチング解析を実施しても同様で、症状が持続する患者は非COVID-19群に比べて、記憶、推理、実行機能のタスクで障害が大きく(-0.33~-0.20 SD)、これらのタスクは、記憶力低下、ブレインフォグなどの最近の症状と弱い相関が認められました。
 
以上より、コロナ症状が12週以上持続する場合、認知機能障害の程度が大きい可能性が示唆されました。
 

参考:Cognition and Memory after Covid-19 in a Large Community Sample | NEJM

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