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コロナ罹患後症状とワクチンの関係

10/22/2023 10:00:04

新型コロナ

今日のポイント:コロナワクチン接種でコロナ罹患後症状が軽減


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種とCOVID-19罹患後症状の関係を調べた研究です。カナダ・Montreal Clinical Research Instituteからの報告です。(International Journal of Infectious Diseases誌オンライン版、2023年9月15日号)

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COVID-19罹患後症状(世界保健機関[WHO]の定義※に基づく)を有する患者83例を対象とした前向きコホート研究を実施しました。対象患者のCOVID-19ワクチン接種前後の罹患後症状数、罹患後症状を有する臓器数、心理的幸福度(WHO-5精神健康状態表[WHO-5]に基づく)を評価しました。また、全身性炎症のバイオマーカーや血漿中のサイトカイン/ケモカイン量、血漿中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原量、SARS-CoV-2由来のタンパク質に対する抗体量なども評価しました。本記事では、組み入れ時にCOVID-19ワクチン未接種であった39例を対象に、ワクチン接種前後に評価した縦断的解析の結果を示します。
※新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、他の疾患による症状として説明がつかないもの。

  • COVID-19ワクチン接種前後のCOVID-19罹患後症状数(平均値±標準偏差[SD])は、ワクチン接種前が6.56±3.1であったのに対し、ワクチン接種後は3.92±4.02であり、有意に減少しました(p<0.001)。
  • また、罹患後症状を有する臓器数(平均値±SD)はワクチン接種前が3.19±1.04であったのに対し、ワクチン接種後は1.89±1.12であり、こちらも有意に減少しました(p<0.001)。
  • WHO-5スコア(平均値±SD)は、ワクチン接種前が42.67±22.76であったのに対し、ワクチン接種後は56.15±22.83であり、心理的幸福度が有意に改善しました(p<0.001)。
  • COVID-19ワクチン接種後において、16種類のサイトカイン/ケモカイン量がワクチン接種前と比較して有意に減少しました。
  • ワクチン接種前において、血漿中からSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質とヌクレオカプシド(N)タンパク質がそれぞれ17.9%(7/39例)、38.5%(15/39例)に検出されたが、ワクチン接種前後において、血漿中濃度に有意な変化はみられませんでした。
  • ワクチン接種前において、Sタンパク質、Nタンパク質、Sタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG抗体およびIgM抗体が検出されました。
  • ワクチン接種後において、Nタンパク質に対する血中のIgG抗体、IgM抗体の濃度が有意に減少したが、Sタンパク質、RBDに対する血中のIgG抗体の濃度は有意に増加しました。

 
以上より、COVID-19ワクチンは炎症性サイトカイン/ケモカインを減少させ、COVID-19罹患後症状を軽減したことが明らかになりました。


参考:Vaccination after developing long COVID: Impact on clinical presentation, viral persistence, and immune responses - International Journal of Infectious Diseases (ijidonline.com)

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