レジリエンスと長寿の関係
12/17/2024 10:00:05
今日のポイント:レジリエンスの高さは長寿と関連する
レジリエンス(精神的回復力)と長寿の関係を調査しました。中山大学公共衛生学院(中国)からの報告です。(BMJ Mental Health、2024年9月3日)
50歳以上の人を対象とした米国の「健康と退職に関する研究(Health and Retirement Study;HRS)」のデータを用いて、レジリエンスとあらゆる原因による死亡(全死亡)との関連を検討しました。HRSは1992年に開始された研究だが、本研究では、調査内容にレジリエンスが含められた2006年以降の2回分(2006〜2008年)の調査データが用いられました。調査参加者は、忍耐力、冷静さ、目的意識、自立心などの資質を測定する尺度により評価されたレジリエンスのスコアに応じて、最も低いQ1群から最も高いQ4群の4群に分類されました。解析は、調査データが全てそろった1万569人(平均年齢66.95歳、女性59.84%)を対象に行われました。対象者の死亡については、2021年5月まで追跡されました。
・追跡期間中に確認された全死亡件数は3,489件でした。
・解析の結果、レジリエンスと全死亡はほぼ線形関係にあることが明らかになりました。
・10年間の生存率は、Q1群で61.0%、Q2群で71.9%、Q3群で77.7%、Q4群で83.9%でした。
・到達年齢、性別、人種、BMIを調整した解析からは、Q4群ではQ1群に比べて全死亡リスクが53%有意に低いことが示されました(ハザード比0.473、95%信頼区間0.428〜0.524、P<0.0001)。
・交絡因子に糖尿病や心臓病、がん、高血圧などの基礎疾患を含めて解析すると、この関連は弱まって46%の低下に、さらに喫煙状況や運動習慣、婚姻状況も含めた場合には38%の低下となりました。
以上より、レジリエンスのレベルが最も高い人は最も低い人に比べて、今後10年以内に死亡するリスクが53%低いことが示されました。
参考文献:
Association between psychological resilience and all-cause mortality in the Health and Retirement Study | BMJ Mental Health
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