夜型の生活と寿命

今日のポイント：夜型人間≠寿命が短い

夜型は健康を害するという意見はあるが、果たして本当なのだろうか。クロノタイプ（時間的特性）が健康に影響をもたらすかどうかを調査した研究を紹介します。フィンランド・国立労働衛生研究所からの報告です。（Chronobiology International誌オンライン版、2023年6月15日）

本研究では、フィンランドの成人ツインコホートを利用して、37年に及ぶ追跡調査を行い、アンケートを実施しました（回答率84％）。「自分がどの程度、朝型人間、夜型人間かを評価してみてください」という質問に対して、4つの選択肢（「明らかに朝型人間」から「明らかに夜型人間」など）で回答した2万3,854人が対象でした。
 
回答者の内訳は、朝型が29.5％、やや朝型が27.7％、やや夜型が33.0％、夜型が9.9％。朝型と比較すると、夜型は若く、教育期間が長いカテゴリーの割合がやや高く、飲酒量と喫煙量が多くなりました。
 
バイタルステータスおよび死因のデータは、2018年末までの全国のレジスターから提供されたものを使用し、死亡率のハザード比は、8,728人の死亡例に基づいて計算され、教育の程度、アルコール、喫煙、BMI、睡眠時間について調整しました。

• 共変量調整モデルで、夜型グループの全死亡率が9％増加していました（ハザード比：1.09、95％信頼区間：1.01～1.18）。また、主に喫煙とアルコールが減衰原因としてみられました。
• 軽い飲酒をする程度の非喫煙者では、死亡率の増加がみられないことから、喫煙とアルコールの重要性が強く示唆されました。
• 原因別死亡率も増加しなかったことから、死亡率に対するクロノタイプの独立した寄与は、ほぼ/またはまったくないことが示唆されました。

 
以上より、単純に「夜型＝寿命が短い」は成り立たないようです。

参考：Full article: Chronotype and mortality - a 37-year follow-up study in Finnish adults (tandfonline.com)