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会話時間と誤嚥の関係

1/16/2024 10:00:04

その他

今日のポイント:会話時間が短い人は早期から誤嚥性肺炎のリスク増大


50~60歳代の会話時間と誤嚥性肺炎のリスクを調査しました。大分大学医学部からの報告です。(Cureus、2023年10月29日)

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医師を対象とするインターネットアンケートによる横断調査を行い、関連因子の特定を試みました。調査対象は、アンケート調査パネルに登録している50~60歳代の医師310人としました。対象を医師に限った理由としては、嚥下機能を評価するための反復唾液嚥下テスト(RSST)を、医師であれば正確に行えると考えたためとしました。RSSTは、30秒間にできるだけ多く唾を飲み込んでもらい、飲み込む回数が多いほど嚥下機能が良好と判定します。なお、嚥下機能の正確な評価にはバリウムを用いる画像検査が行われるが、RSSTの回数はその検査の結果と強く相関することが報告されています。
 
アンケートではこのRSSTの回数のほかに、年齢、性別、BMI、併存疾患(脳血管疾患、COPD、胃食道逆流症、頭頸部腫瘍、神経筋疾患など)、服用中の薬剤、生活習慣(飲酒・喫煙・運動習慣、睡眠時間、歯みがきの頻度、1日の会話時間)、自覚症状(口呼吸、口渇、鼻閉、飲み込みにくいなど)について質問しました。なお、RSSTは上限を20回として、0~20の間で回答を得ました。また、会話の時間は、自分が話している時間と相手の話を聞いている時間を区別せずに答えてもらいました。
 
・回答者の年齢は中央値59歳(四分位範囲54~64)、女性6.1%でした。RSSTスコアは中央値12で、1~12回を低RSST群(52.3%)、13~20回を高RSST群(47.7%)としました。
・両群を比較すると、年齢や性別の分布、会話時間以外の生活習慣、自覚症状に有意差は見られず、脂質異常症の割合〔低RSST群19.8%、高RSST群30.4%(P=0.030)〕と会話時間〔1日に3時間未満が同順に66.0%、50.6%(P=0.006)〕のみ有意差が認められました。
・このほかに、睡眠時無呼吸症候群(P=0.054)や口呼吸(P=0.076)、窒息しかけた体験の有無(P=0.084)が、有意水準未満ながらも比較的大きな群間差が認められました。
・次に、有意差または有意に近い群間差が認められた上記の因子を独立変数、低RSSTであることを従属変数とする多変量解析を施行し、その結果、低RSSTに独立した関連のある因子として、1日の会話の時間が3時間未満であることのみが抽出されました〔オッズ比1.863(95%信頼区間1.167~2.974)〕。
 
以上より、50~60歳代という誤嚥性肺炎が生じるにはまだ早い年齢層であっても、人と会話をする時間が短い人は、嚥下機能が低下している可能性が示唆されました。

参考:Factors Associated With Swallowing Function Among Physicians in Their 50s and 60s: A Cross-Sectional Study - PMC (nih.gov)

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