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シフト勤務とうつ病リスク

7/2/2023 10:00:04

メンタルヘルス

今日のポイント:女性のシフト勤務就労者ではうつ病リスクに対する悪影響の可能性


シフト勤務は、多くの健康問題、とくにメンタルヘルスの問題と関連しており、今回その影響を調査しました。ドイツ・ルール大学からの報告です。(Chronobiology International誌オンライン版、2021年8月12日号)

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抑うつ症状は、うつ病自己評価尺度(CES-D)、Patient Health Questionnaire(PHQ)、抗うつ薬の処方状況により評価しました。CES-Dのカットオフ値は、高度と評価される17点以上、PHQのカットオフ値は9点以上としました。シフト勤務の定義は、7:00~18:00以外の勤務時間を含むものとし、夜間勤務の定義は0:00~5:00の勤務時間を含むものとしました。相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定するため、フォローアップ時の年齢、日周指向性(クロノタイプ)、世帯収入、教育で調整し、ロバスト標準誤差を有するポアソン回帰分析を用いて検討を行いました。性別により層別化、分析し、結果のロバスト性を評価するため、さまざまな感度分析と層別分析を行いました。

  • ベースライン時、45~73歳のうつ病歴のない就労者1,500人を調査しました。
  • フォローアップ期間が5年間であった就労者は896人、10年間であった就労者は486人でした。
  • ほとんどの分析において、統計学的に有意なレベルに達しませんでしたが、PHQでの評価によると、夜間勤務の女性において抑うつ症状リスクの増加傾向が認められ(RR:1.78、95%CI:0.71~4.45)、とくに20年以上の夜間勤務の場合、この傾向がより顕著でした(RR:2.70、95%CI:0.48~15.4)。
  • 年齢別に層別化した場合、60歳以上の女性では、リスクの増加が認められませんでした。
  • 層別化分析では、オーバーコミットメントが女性の抑うつ症状リスクの高さと関連していることが示唆されました([CES-D]RR:4.59、95%CI:0.95~22.2、[PHQ]RR:12.7、95%CI:2.89~56.1)。
  • 感度分析を目的としたサブグループの除外により、女性での関連性は上昇しましたが、男性のシフト勤務就労者におけるうつ病リスクとの関連は、ほとんど消失していました。


以上より、女性のシフト勤務就労者ではうつ病リスクに対する悪影響が示唆されましたが、一方男性ではこの関連性が一貫して増加することは確認されませんでした。

参考:Impact of shift work on the risk of depression: Chronobiology International: Vol 38, No 12 (tandfonline.com)

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