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熱帯夜と脳卒中の関係

10/10/2024 10:00:05

その他

今日のポイント:前夜が超高温だった日は脳卒中リスクが増大


熱帯夜と脳卒中の関係を調査しました。ドイツ・Helmholtz Zentrum Munchenからの報告です。(European Heart Journal誌、2024年6月21日)

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2006年1月1日~2020年8月31日にアウクスブルク大学病院神経科に入院した脳卒中患者2万2,284例を対象としました。そのうち、寒い季節に室内暖房によって引き起こされる大幅な温度差を避けるために、5~10月に発生した脳卒中症例に限定して解析を行いました。平均気温、相対湿度、気圧などの1時間ごとの気象データは地元の気象観測所から取得しました。分布ラグ非線形モデルを用いた時間層別ケースクロスオーバー解析によって、日中の最高気温やその他の気候変数を調整したうえで、高温夜間過剰(hot night excess[HNE])指数で測定した極端な夜間の暑さ(extreme nighttime heat:HNEの97.5パーセンタイル)に関連する脳卒中リスクを推定しました。なお、本研究において、「夜間」は前日の夜の始まりから当日朝の夜の終わりまででした。

・2006~20年の5~10月に脳卒中のために入院した1万1,037例(平均年齢:71.3歳)を解析に含めました。2006~12年は5,343例、2013~20年は5,694例でした。
・2006~12年から2013~20年にかけて平均気温は0.3度上昇し、最高気温は0.7度上昇しました。極端な夜間の暑さの日は79日から82日に増加しました。
・調査期間全体では、極端な夜間の暑さの日に脳卒中リスクが有意に増加していました。オッズ比(OR)は1.14(95%信頼区間[CI]:1.01~1.32)でした。
・期間別では、2006~12年は夜間の極端な暑さの影響はみられませんでしたが(OR:0.99[95%CI:0.91~1.08])、2013~20年は有意な影響がみられました(OR:1.33[95%CI:1.18~1.50])。
・2006~12年では、夜間の極端な暑さは年間2例の脳卒中の過剰発生に関連していましたが、2013~20年では33例の過剰発生と関連していました。
・高齢者、女性、軽度の脳卒中患者では、脳卒中リスクが顕著に増大していました。

以上より、前夜が超高温だった日は脳卒中リスクが増大する可能性が示されました。


参考文献:
Nocturnal heat exposure and stroke risk - PMC (nih.gov)

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