2型糖尿病患者の消化器症状と不眠症
6/20/2024 10:00:05
今日のポイント:2型糖尿病患者の消化器症状は不眠症と強く関連あり
糖尿病患者の消化器症状と不眠症の関連を調査しました。京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学からの報告です。(Journal of Diabetes Investigation、2024年3月5日)

「KAMOGAWA-DMコホート研究」に参加している2型糖尿病患者を2014年1月~2022年1月に登録し、横断研究を行いました。消化器症状の評価には、胸やけ、胃痛、胃もたれ、便秘、下痢の5つの症状を評価する「出雲スケール」を用いました(各症状とも3つの質問項目から0~15点で評価され、スコアが高いほど症状が悪い)。また、睡眠は「アテネ不眠症尺度」で評価し、合計スコア6点以上または睡眠薬を使用している場合を不眠症と定義しました。
・解析対象者は175人(男性100人、女性75人)、年齢中央値は66歳(四分位範囲57~73歳)で、そのうち68人が不眠症に該当しました。
・不眠症の人はそうでない人と比べ、収縮期血圧および拡張期血圧が有意に高くなりました。
・出雲スケールの結果を比較すると、総スコアの中央値(四分位範囲)は、不眠症の人の方がそうでない人よりも有意に高く、それぞれ14点(5.25~20.75点)と5点(2~10点)でした。
・症状ごとの結果も同様で、胸やけは2点(0~4点)と0点(0~1点)、胃痛は0点(0~4点)と0点(0~0点)、胃もたれは2点(0~4点)と0点(0~2点)、便秘は4点(2~6点)と2点(0~4点)、下痢は3点(1~5点)と1点(0~3点)であり、全て不眠症の人の方が有意に高くなりました。
・次に、不眠症と関連する要因がロジスティック回帰分析により検討され、年齢、性別、BMI、収縮期血圧、HbA1c、糖尿病神経障害、インスリン療法、夜間頻尿の影響を調整した解析の結果、出雲スケール総スコアの1点上昇ごとのオッズ比(95%信頼区間)は1.10(1.06~1.16)であり、不眠症と有意に関連することが明らかとなりました。
・同様に、症状ごとのスコアについても有意な関連が認められ、オッズ比は胸やけ1.32(1.13~1.55)、胃痛1.38(1.16~1.63)、胃もたれ1.33(1.13~1.56)、便秘1.21(1.08~1.36)、下痢1.29(1.12~1.47)でした。
以上より、消化器症状は2型糖尿病患者の不眠症と強く関連している可能性が示唆されました。
参考文献:Association between gastrointestinal symptoms and insomnia in patients with type 2 diabetes: The KAMOGAWA‐DM cohort study - Minamida - Journal of Diabetes Investigation - Wiley Online Library
この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓