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口唇ヘルペスウイルスとアルツハイマー病の関係

7/24/2025 10:00:00

認知症

今日のポイント:口唇ヘルペスウイルスがアルツハイマー病リスクと関連か

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)感染とアルツハイマー病(AD)発症リスクとの関連を調査しました。本研究は、米国・ギリアド・サイエンシズからの報告です。(BMJ Open誌、2025年5月20日号)

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本研究では、米国の大規模民間保険請求データベース「IQVIA PharMetrics Plus」を用い、2006~21年の間にADと診断された50歳以上の患者34万4,628例を特定し、年齢、性別、地域、データベース登録年、医療機関受診回数でマッチングした同数の対照者を1対1の割合で抽出し、後ろ向きマッチング症例対照研究を実施しました。

・AD症例群と対照群はともに、平均年齢は73±5歳、女性が65.11%でした。
・AD症例群ではHSV-1感染の診断歴がある人の割合が0.44%(1,507例)だったのに対し、対照群では0.24%(823例)でした。
・多変量解析で調整後、HSV-1感染の診断歴はAD発症リスクの有意な上昇と関連していました(調整オッズ比[aOR]:1.80、95%信頼区間[CI]:1.65~1.96)。
・層別解析ではとくに高齢者で顕著であり、75歳以上の年齢層ではaORが2.10(95%CI:1.88~2.35)でした。
・HSV-1感染の診断歴のある患者群(2,330例)において、抗ヘルペス薬を使用した人(931例、40%)は、使用しなかった人と比較してAD発症リスクが有意に低くなりました(調整ハザード比[aHR]:0.83、95%CI:0.74~0.92)。
・抗ヘルペス薬による同様の保護効果は、AD関連認知症の解析でも認められました。
・本研究において、HSV-2(単純ヘルペスウイルス2型)および水痘・帯状疱疹ウイルス感染の診断歴もADとの関連が認められましたが、サイトメガロウイルスでは有意な関連はみられませんでした。

以上より、口唇ヘルペスウイルスがアルツハイマー病リスクと関連している可能性が示唆されました。


参考文献:
Association between herpes simplex virus type 1 and the risk of Alzheimer’s disease: a retrospective case–control study | BMJ Open

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