仕事ストレスと心疾患リスク
10/29/2023 10:00:05
その他
今日のポイント:仕事のストレスで男性の心疾患リスク上昇
仕事にストレスを感じている男性の心疾患発症リスクを調べた研究を紹介します。CHU de Quebec-Universite Laval Research Center(カナダ)からの報告です。(Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes誌、2023年9月19日)
心疾患のない6,465人(男性3,118人、女性3,347人)のホワイトカラー(平均年齢45.3±6.7歳)を2000年から2018年まで追跡して、職場ストレイン(仕事の要求度は高いが裁量権や支援が不足している状態)や、努力報酬不均衡(effort-reward imbalance;ERI、努力が適切な報酬や昇進に結び付いていないと感じている状態)と心疾患発症との関連を検討しました。職場ストレインとERIはそれぞれ信頼性と妥当性が示されている質問票により評価されました。
- 中央値18.7年の追跡期間中に男性571人と女性265人に冠動脈疾患(CHD)が生じました。
- 解析の結果、職場ストレインまたはERIのいずれかを感じている男性では、仕事のストレスに曝露していない(軽度の職場ストレインはあるが報酬は低くない)男性に比べて、CHDの発症リスクが49%(ハザード比1.49、95%信頼区間1.07〜2.09)、職場ストレインとERIの両方を感じている男性では103%(同2.03、1.38〜2.97)、有意に高くなりました。
- これらの結果は、教育レベルや婚姻状態、喫煙や飲酒の習慣、糖尿病や高血圧などの健康状態を考慮しても変わりませんでした。
- これに対して、女性では、職場ストレインやERIとCHD発症との間に有意な関連は認められませんでした。
以上より、過酷なのにやりがいの感じられない仕事は、男性において最大で二倍ほど心疾患リスクを上昇させる可能性のあることが判明しました。
参考:Psychosocial Stressors at Work and Coronary Heart Disease Risk in Men and Women: 18-Year Prospective Cohort Study of Combined Exposures | Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes (ahajournals.org)
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