最低賃金を引き上げると自殺リスクは低下するか?
7/16/2026 10:00:05
今日のポイント
→最低賃金の引き上げは、絶望死に対してほぼ効果なし
米国における近年の大幅な最低賃金の引き上げが、薬物中毒・自殺による死亡率の上昇と平均寿命の低下への影響について調査しました。
米国・ハーバード大学からの報告です。(American Journal of Epidemiology誌オンライン版、2026年5月4日号)
2010〜19年のNational Vital Statistics System(NVSS)の死亡データを用いて、25歳以上を対象に、州ごとの最低賃金引き上げの導入状況と教育水準(大学卒以上とそれ以外)による影響の違いを考慮した3重差分分析を行いました。最低賃金引き上げの導入状況のばらつきと介入の異質性に対処するため、2段階補完推定法を用いました。中毒、薬物過剰摂取、オピオイド関連過剰摂取、自殺による人口当たりの死亡率を分析しました。
・最低賃金引き上げを行った州は26州(ワシントンD.C.を含む)、25州は行っていませんでした。
・治療前のプラセボ効果推定値からは、結果を混乱させるようなシステマティックな既存傾向を示すエビデンスは、ほとんど認められませんでした。
・最低賃金引き上げによる治療後の平均死亡率への影響はおおむね小くなりました。
・中毒死は-0.9%(95%信頼区間[CI]:-6.8〜5.0)、自殺は-1.0%(95%CI:-7.5〜5.5)、薬物過剰摂取は+0.5%(95%CI:-5.2〜6.2)、オピオイド関連過剰摂取は-2.8%(95%CI:-10.2〜4.6)でした。
・最低賃金引き上げ率が50%以上であった州に限定した場合でも、結論は同様でした。
以上より、2010〜19年にかけて行われた最低賃金の引き上げは、絶望死に対してわずかな影響しか与えておらず、中期的に薬物過剰摂取や自殺による死亡率を大幅に減少させる可能性は低いことが明らかになりました。
参考文献:
Recent minimum wage policies and their association with suicide and poisoning deaths | American Journal of Epidemiology | Oxford Academic
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