中絶薬の有効性、オンライン診療vs.対面診療
8/29/2024 9:30:05
今日のポイント:オンライン診療の非劣性が証明
遠隔医療でのスクリーニング(無検査)と薬の郵送による中絶は、超音波検査を伴う対面診療を経ての処方・中絶と比較し、どのような違いがあるのか。米国・カリフォルニア大学からの報告です。(JAMA誌オンライン版、2024年6月24日号)

2021年5月~2023年3月にコロラド州、イリノイ州、メリーランド州、ミネソタ州、バージニア州およびワシントン州の中絶ケアを提供する団体より参加者を募集し、15歳以上、妊娠70日まで、言語は英語またはスペイン語で、薬による中絶を希望する女性を対象に検討しました。参加者の女性と臨床医が選択したケアモデルとして、対象者を以下の3群に分けました。(1)無検査(遠隔医療)の適格性評価と薬の郵送(無検査+郵送群)228例、(2)無検査の適格性評価と薬の受け取り(無検査+受け取り群)119例、(3)超音波検査付き対面群238例。有効性のアウトカムは、ミフェプリストン+ミソプロストールを投与および経過観察を繰り返す必要のない完全な中絶とし、安全性のアウトカムは1泊入院、手術、輸血など中絶に関連する重大な有害事象とし、患者調査と医療記録からデータを得ました。主要解析では、無検査+郵送群と超音波検査付き対面群を比較しました。
・参加者585例の平均年齢は27.3歳で、ほとんどが非ヒスパニック系白人(48.6%)または非ヒスパニック系黒人(28.1%)でした。
・妊娠期間の中央値は45日(四分位範囲[IQR]:39~53)で、群間に差はありませんでした(p=0.30)。
・なお参加者の91.8%で、アウトカムのデータを得られました。
・有効率は、調整モデルにおいて、無検査+郵送群94.4%(95%信頼区間[CI]:89.6~99.2)、超音波検査付き対面群93.3%(88.3~98.2)でした。
・補正後リスク差は1.2(95%CI:-4.1~6.4)で、事前に規定された非劣性マージン5%を満たしました。
・重篤な有害事象は、1泊入院4件、輸血2件、緊急手術1件を含む参加者の1.1%(95%CI:0.4~2.4)に認められ、無検査+郵送群3例、超音波検査付き対面群3例でした。
・無検査+受け取り群では報告されませんでした。
以上より、遠隔医療でのスクリーニング(無検査)と薬の郵送による中絶は、超音波検査を伴う対面診療を経ての処方・中絶と比較し、完全な中絶率に関して非劣性であり、有害事象の発現率は低いことが明らかになりました。
参考文献:Comparison of No-Test Telehealth and In-Person Medication Abortion | Reproductive Health | JAMA | JAMA Network
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