小児のインフルワクチンと救急外来受診・入院
2/13/2025 10:00:05
今日のポイント:インフルワクチン、小児の救急外来・入院を50%減少
インフルエンザワクチンと小児の救急外来受診・入院との関係を調査しました。米国疾病予防管理センター(CDC)のKelsey M. Sumner氏らは、2015~20年の5年間にわたり、急性呼吸器疾患(acute respiratory illness:ARI)で救急外来受診や入院治療を受けた生後6ヵ月~17歳を対象にインフルエンザワクチンの有効性を検証した。JAMA Network Open誌2024年12月27日号に掲載。

検査陰性デザイン(test-negative design)の症例対照研究で、2015年11月6日~2020年4月8日に、New Vaccine Surveillance Networkに参加している米国8州の医療機関8施設のデータを使用し、急性呼吸器疾患(ARI)で入院や救急外来受診した生後6ヵ月~17歳を対象に実施されました。対象者は、インフルエンザ検査陽性群とインフルエンザ検査陰性の対照群に分類されました。また、ワクチン接種歴に基づいて分類され、ARIの重症度を基準に登録されました。重症度は救急外来受診、非重篤な入院、重篤な入院(ICU入院や死亡を含む)の3段階としました。多変量ロジスティック回帰モデルを用いてワクチン接種オッズを比較してワクチン効果を推定し、ワクチン接種の有無による重症化リスクの低減効果を評価しました。
・ARIで治療を受けた小児1万5,728例(男児:55.4%、6ヵ月~8歳:1万3,450例[85.5%]、9~17歳:2,278例[14.5%])のうち、2,710例(17.2%)がインフルエンザ検査陽性(症例群)、1万3,018例(82.8%)がインフルエンザ検査陰性(対照群)でした。
・インフルエンザ陽性群のうち、1,676例(61.8%)が救急外来を受診し、896例(33.1%)が非重篤な入院、138例(5.1%)が重篤な入院でした。
・全体の約半数(7,779例[49.5%])がワクチン接種を受け、症例群の接種率は32.6%、対照群の接種率は53.0%でした。
・推定ワクチン効果として、インフルエンザワクチンを少なくとも1回接種すると、インフルエンザ関連の救急外来受診または入院リスクが、接種しなかった場合と比較して推定55.7%(95%信頼区間[CI]:51.6~59.6)低下しました。
・推定ワクチン効果は、年少児(6ヵ月~8歳:58.1%[95%CI:53.7~62.1])のほうが、年長児(9~17歳:42.6%[95%CI:29.2~53.5])よりも高くなりました。
・重症度別のワクチン効果は、救急外来受診では52.8%(95%CI:46.6~58.3)、非重篤な入院では52.3%(95%CI:44.8~58.8)、重篤な入院では50.4%(95%CI:29.7~65.3)で、いずれの重症度でも同様でした。
以上より、インフルエンザワクチンを少なくとも1回接種すると、インフルエンザに関連する小児救急外来受診または入院が50%強減少することが判明しました。
参考文献:
Estimated Vaccine Effectiveness for Pediatric Patients With Severe Influenza, 2015-2020 - PMC
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