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歩行速度と不整脈

6/22/2025 10:00:05

その他

今日のポイント:早歩きが不整脈リスクの低さと関連

歩行速度と不整脈リスクの関連を調査しました。英グラスゴー大学からの報告です。(Heart誌、2025年4月15日)

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英国で行われている一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータを用いて検討しました。UKバイオバンクの参加者42万925人(平均年齢55.8±9.30歳、女性55.3%)を、自己申告に基づき、歩行速度が速い群(時速4マイル〔約6.4km〕超)40.7%、遅い群(時速3マイル〔約4.8km〕未満)6.6%、および、平均的な速度の群(時速3~4マイル)52.7%の3群に分類しました。中央値13.7年(四分位範囲12.8~14.4年)の追跡期間中に、全体で3万6,574人(8.7%)が不整脈を発症していました。

・結果に影響を及ぼし得る交絡因子(年齢、性別、民族性、喫煙・飲酒・運動習慣、睡眠時間、野菜や果物・加工肉・赤肉の摂取量、握力など)を調整後、歩行速度が遅い群を基準として不整脈発症リスクを比較すると、歩行速度が平均的な群では35%(ハザード比〔HR〕0.65〔95%信頼区間0.62~0.68〕)、速い群では43%(HR0.57〔同0.54~0.60〕)、それぞれ有意にリスクが低いことが明らかになりました。
・不整脈の中でも脳梗塞につながる心房細動は、追跡期間中に2万3,526人が発症していました。
・この心房細動の罹患リスクも上記と同様の解析の結果、歩行速度が平均的な群では38%(HR0.62〔0.58~0.65〕)、速い群では46%(HR0.54〔0.50~0.57〕)、それぞれ有意にリスクが低くなりました。
・次に、加速度計のデータにより歩行時間を把握できた8万773人を対象とする解析が行われました。
・この集団では中央値7.9年(四分位範囲7.4~8.5)の追跡期間中に4,177人が不整脈を発症していました。
・前記同様の交絡因子を調整後、高速での歩行の時間が長いこと(1標準偏差当たりHR0.93〔0.88~0.97〕)、および、平均的な速度での歩行の時間が長いこと(同HR0.95〔0.91~0.99〕)は、不整脈リスクの低さと有意な関連がありました。
・一方で低速での歩行時間の長さは不整脈リスクと関連がありませんでした。
・なお、サブグループ解析からは、女性、60歳未満、非肥満者、高血圧罹患者、2種類以上の慢性疾患罹患者で、歩行速度と不整脈リスクとの関連がより強く認められました。
・また、媒介分析からは、歩行速度と不整脈リスクとの関連の36.0%を、肥満や代謝・炎症(BMI、総コレステロール、収縮期血圧、HbA1c、C反応性蛋白)によって説明できることが分かりました。

以上より、早歩きが不整脈リスクの低さと関連しており、歩行速度で3群に分けて比較すると、最大43%のリスク差が認められました。


参考文献:
Association of self-reported and accelerometer-based walking pace with incident cardiac arrhythmias: a prospective cohort study using UK Biobank | Heart

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