コロナと脱毛

今日のポイント：コロナ後遺症の一つとして休止期脱毛症を発症する可能性あり
 

今回はコロナ感染症と脱毛症の関係を調べた研究を報告します。コロナ罹患後の脱毛は男性に限らず女性にも関係ある内容です。(JAAD international誌オンライン版、2022年2月22日号掲載)

米国マイアミ大学の研究グループによるシステマティックレビューとメタ解析で以下の結果を得ました。

• COVID-19と脱毛患者に関する41の論文を参考にしました。
• レビューには、COVID-19に罹患した脱毛患者1,826人(平均年齢54.5歳、男性54.3%)を含んでいました。
• 最も一般的に認めた脱毛症のタイプはAGA（全体の30.7％、男性で86.4％）、TE（19.8％、男性で19.3％）、AA（7.8％、男性で40.0％）でした。
• AGAを示したCOVID-19患者全員が、AGA既往歴があり（100％）、AGAはCOVID-19に先んじて認めらました。
• TEを示したCOVID-19患者は、多くがTE既往歴がなく（93.6％）、TEはCOVID-19によって新たに引き起こされたものでした。
• AAを示したCOVID-19患者は、多くがAA既往歴があり（95.1％）、AAは概してAA既往歴のある患者で発生が認められました。

※AGA：男性型脱毛、TE：休止期脱毛、AA：円形脱毛
※休止期脱毛：休止期脱毛症はヘアサイクルの「成長期」にある髪の毛が、何らかの原因で「休止期」の入ることにより、普段より多くの髪が抜けることにより起こる脱毛症のこと。特に頭頂部、前頭部などの区別はなく、頭部全体に影響を及ぼすのが特徴です。
 
以上の結果より、コロナ感染により新規に発症する脱毛は休止期脱毛と呼ばれるタイプの脱毛で、特定の部位に限局的に発生する脱毛ではなく頭部全体に広く発生するタイプの脱毛です。
 
コロナ感染により様々な後遺症が報告されていますが、男性女性関わらず脱毛のリスクも存在することがわかってきました。これからもコロナ感染には十分に注意して生活していきたいですね。


参考：Alopecia in patients with COVID-19: A systematic review and meta-analysis - JAAD International