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睡眠不足・睡眠障害と緑内障

11/2/2025 10:00:00

その他

今日のポイント
→睡眠不足・睡眠障害は緑内障リスクに関連か

短い睡眠時間や不眠症、睡眠時無呼吸症候群(SAS)といった睡眠障害と、視神経の変性や緑内障の発症リスクを調査しました。京都大学からの報告です。(American Journal of Ophthalmology、2025年8月15日)

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地域ベースの横断研究には、前向きコホート研究(長浜コホート研究)から40~80歳の成人5,958人が参加しました。睡眠は手首装着型アクティグラフィーで評価され、RNFL厚は光干渉断層計(OCT)で測定されました。睡眠パラメータと網膜神経線維層(RNFL)厚との関連を検討するため、多変量線形モデルを用いた横断解析が行われました。一方、全国規模の後ろ向きコホート研究には、厚生労働省が運用するNDBデータベースが利用されました。解析対象は、40歳以上の不眠症患者98万5,136人、SAS患者7万2,075人、そしてこれらの疾患をもたない対照群でした。最大7.5年間追跡し、Cox比例ハザードモデルを用いて緑内障発症の調整ハザード比(aHR)が推定されました。

・地域ベースの横断研究では、参加者の睡眠時間と睡眠効率をそれぞれ4群、5群に分類し一元配置分散分析を実施しました。
・その結果、睡眠時間(P=0.021)および睡眠効率(P<0.001)のいずれにおいてもRNFL厚に有意差がみられました。
・RNFL厚は6~7時間睡眠群で最も高く、睡眠時間が短くなるほど減少する傾向を示しました。
・さらに年齢、性別、眼圧、および全身因子で調整後も、睡眠時間が6時間未満であることはRNFLの菲薄化と独立して関連していました(β=-0.76、95%信頼区間〔CI〕 -1.33~-0.19、P=0.008)。
・全国コホートでは、追跡期間中に、不眠症患者98万5,136人のうち1万8,954人、SAS患者7万2,075人のうち1,276人が新たに緑内障と診断されました。
・年齢、性別、既存の併存疾患で調整したCox比例ハザード回帰分析の結果、不眠症(aHR 1.30、95%CI 1.28~1.32、P<0.001)およびSAS(aHR 1.43、95%CI 1.35~1.51、P<0.001)は、いずれも緑内障リスクの上昇と独立して関連していました。

以上より、短い睡眠時間や不眠症、睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害が、視神経の変性や緑内障の発症リスクと関連することが明らかになりました。


参考文献:
Sleep Disturbance as a Risk Factor for Retinal Neurodegeneration and Subsequent Glaucoma - American Journal of Ophthalmology

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