コロナ死亡患者、脳に長期間ウイルスが存在か
1/10/2023 10:00:03
新型コロナ
今日のポイント:コロナ死亡者の体内には広く呼吸器・非呼吸器(脳を含む)に長期間コロナウイルスが存在する可能性
多臓器不全を引き起こすことのある新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ですが、
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者の体内には、呼吸器をはじめ非呼吸器、脳に至るまで広く長期に渡ってSARS-CoV-2が存在している可能性が米国国立衛生研究所より示されました。(Nature誌オンライン版、2022年12月14日)
COVID-19の感染後に死亡した44例の患者の完全剖検を行い、うち11例の患者の中枢神経系を広範囲に採取し、感染から症状発現後7ヵ月以上までの、脳を含む人体全体のSARS-CoV-2の分布、複製、細胞型特異性のマッピングと定量分析を行いました。死亡時の病日により剖検例を早期(14日以内:n=17)、中期(15~30日:n=13)、後期(31日以上:n=14)に分類し、後期の症例においてSARS-CoV-2 RNAが存在する場合を持続と定義しました。
- 2020年4月26日~2021年3月2日に44例の剖検を行い、検体はすべてCOVID-19に感染して死亡したワクチン未接種者のものでした。
- 女性が30%、年齢中央値は62.5歳(四分位範囲[IQR]:47.3~71.0)、61.4%が3つ以上の併存疾患を有していました。
- PCR陽性は42例で死前、2例で死後に確認され、11例で脳のサンプリングが行われました。
- 発症から最終的な入院、その後の死亡までの中央値はそれぞれ6日(IQR:3~10)、18.5日(IQR:11.25~37.5)で、死亡から剖検までの中央値は22.2時間(IQR:18.2~33.9)でした。
- SARS-CoV-2 RNAは84の異なる解剖学的部位と体液で検出され、早期~後期のいずれも非呼吸器組織と比較して呼吸器組織で有意(p<0.0001)に高い値が検出されました。
- 脳のサンプリングを受けた全症例において、中枢神経系組織からSARS-CoV-2 RNAが検出されました(10/11例、検出不能を除く)。ここには、230日目の死亡例を含んだ後期症例のすべてが含まれ(5/6例、検出不能を除く)、脳におけるウイルスの持続性が確認されました。
- 高いウイルス負荷にもかかわらず、脳における病理組織学的変化はほとんど認められませんでした。
- SARS-CoV-2 RNAの持続性は、血漿では検出されなかったものの、すべての後期症例で複数の組織にわたって確認されました。
以上のように、今回の研究ではコロナ死亡例で脳におけるウイルスの持続性が認められました。
参考:SARS-CoV-2 infection and persistence in the human body and brain at autopsy | Nature
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