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抗インフルエンザ薬、医師はどれを処方している?

11/16/2023 10:00:05

その他

今日のポイント:2018年は新たに登場したバロキサビル(ゾフルーザ®)が40.8%を占めた。

わが国には抗インフルエンザ薬としてザナミビル、オセルタミビル、ラニナミビル、ペラミビル、バロキサビルなどが承認・使用されている。世界的にはインフルエンザ迅速検査で陽性となった場合、若年で持病などがなければ治療薬の処方はされないが、わが国では抗インフルエンザ薬がこうした若く持病のない患者にも処方されている。これはわが国特有の状況とされるが、具体的にはどの薬剤が多く処方されているのか調査しました。国立国際医療研究センターからの報告です。(PLoS One誌、2023年10月4日号)

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研究報告によると2017年度の抗インフルエンザ薬処方人数は1,339万例で、薬剤費は480億円。2018年度では処方患者数の約38%を20歳未満が占め、5~9歳では4例に1例が処方された計算でした。
 
方法としてわが国の個々の患者の性別、年齢、受けた検査、処方、手術などのデータが含まれるレセプト情報・特定健診等情報データベース(National Database:NDB)を解析し、2014~20年度のNDBオープンデータを用いて記述疫学研究を実施しました。その際、抗インフルエンザ薬を処方された年間患者数、処方された薬剤、患者の年齢・性別分布、薬剤費、地域格差を推定しました。
 
・2014~19年に抗インフルエンザ薬が処方された患者数は年間670~1,340万例でした。
・薬剤費は年間223~480億円と推定されます。
・インフルエンザ迅速抗原検査は2,110〜3,200万件実施され、その費用は301〜471億円でした。
・2017年に最も処方頻度の多かった抗インフルエンザ薬はラニナミビル(48%)、オセルタミビル(36%)の順でした。
・2018年は新たに登場したバロキサビルが40.8%を占めました。
・新型コロナウイルス感染症の流行後、2020年に抗インフルエンザ薬を処方された推定患者数はわずか1万4,000例にまで減少しました。
・2018年、抗インフルエンザ薬が処方された37.6%が20歳未満の患者であったのに対し、65歳以上の患者は12.2%でした。
・入院患者への抗インフルエンザ薬の処方は1.1%で、年齢が高くなるにつれて割合が増加し、入院中に抗インフルエンザ薬が処方されるのは女性よりも男性のほうが多くなりました。
 
今後はいっそう経済的な側面と医学的な側面を考慮した上での処方が必要かもしれません。


参考:Prescription of anti-influenza drugs in Japan, 2014–2020: A retrospective study using open data from the national claims database | PLOS ONE

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