世界のがん死亡者数は増加傾向
6/2/2024 10:00:05
今日のポイント:世界的にはがんの死亡者数は増加傾向
世界的な高齢化とがん死亡者数の関係を調査しました。米国がん協会(ACS)からの報告です。(Global Cancer Statistics 2022、2024年4月4日)
以下、調査結果です。
・2022年において世界中で最も診断数が多かったがんは肺がんの約250万人(全がん症例の12.4%)であり、次いで、女性での乳がん(11.6%)、大腸がん(9.6%)、前立腺がん(7.3%)、胃がん(4.9%)の順でした。
・肺がんは、がんによる死亡の原因としても最も多く、2022年には180万人(がんによる死亡者の18.7%)が肺がんにより死亡していました。
・肺がんの次には、大腸がん(9.3%)、肝臓がん(7.8%)、女性での乳がん(6.9%)、胃がん(6.8%)による死亡者が多くなりました。
・新規罹患者数と死亡者数が最も多かったがんは、男性では肺がん、女性では乳がんでした。
・女性では、2022年には毎日約1,800人が子宮頸がんに罹患し、約1,000人が同がんにより死亡していました。
・研究グループは、子宮頸がんは予防可能ながんであり、事実上、全ての子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)によって引き起こされているにもかかわらず、世界でのHPVワクチンの接種率はわずか15%だと指摘しました。
・接種率には中央・南アジアでの1%からオーストラリア・ニュージーランドでの86%までの幅があり、同様に、世界での子宮頸がんの検診受診率も36%と低くなっています。
・子宮頸がんは、サハラ以南のアフリカとラテンアメリカの37カ国の女性のがんによる死因の第1位であり、エスワティニ、ザンビア、マラウイ、ジンバブエ、タンザニアでの罹患率(10万人当たり65〜96人)は米国の罹患率(10万人当たり6人)の10倍から16倍でした。
・さらに報告書では、低所得国においては早期発見・早期治療サービスが不十分なため、がんの罹患者数が少ないにもかかわらず、がんによる死亡率は高いことが指摘されました。
・例えば、エチオピアでは、乳がんの罹患率は米国と比べて60%も低い(10万人当たり40人対60人)一方で、乳がんによる死亡率は米国の2倍(10万人当たり24人対12人)でした。
以上より、世界的な高齢化が拍車をかけ、がんの患者数は増加の一途をたどり、2050年までに3500万人に達するだろうと試算されました。
参考文献:Global cancer statistics 2022: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries - Bray - CA: A Cancer Journal for Clinicians - Wiley Online Library
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