COVID-19と精神科医療
3/27/2025 10:00:00
本日のポイント:不安症を除く精神疾患患者で入院患者数および入院した外来患者数が減少
COVID-19パンデミック中の日本における精神疾患患者の外来および入院治療へのアクセスが維持されていたかどうかを調査しました。北海道大学からの報告です。(Social Science & Medicine誌、2025年2月号)

日本の急性期病院242施設のデータを用いて、COVID-19前後(2015〜19年vs.2020年)の精神疾患患者の精神科入院を比較するため、ポアソン回帰による差分分析を行いました。2020年4月の日本政府による緊急事態宣言を外生的ショックとみなしました。主要アウトカムには、統合失調症、気分障害、不安症、認知症、アルコール関連疾患の入院患者数および入院した外来患者数を含めました。
・研究期間中の外来患者数は7万9,867例、入院患者数は2,600例でした。
・差分分析では、2020年4月以降、不安症を除く精神疾患患者で入院患者数および入院した外来患者数が減少していました。
【統合失調症】外来患者の入院率:0.92(95%信頼区間[CI]:0.83〜1.02)、入院患者数:0.71(95%CI:0.46〜1.09)
【気分障害】外来患者の入院率:0.92(95%CI:0.85〜0.99)、入院患者数:0.87(95%CI:0.50〜1.49)
【不安症】外来患者の入院率:1.02(95%CI:0.92〜1.13)、入院患者数:1.07(95%CI:0.69〜1.65)
【認知症】外来患者の入院率:0.88(95%CI:0.80〜0.96)、入院患者数:0.68(95%CI:0.38〜1.22)
【アルコール関連疾患】外来患者の入院率:0.77(95%CI:0.54〜1.11)、入院患者数:0.63(95%CI:0.43〜0.90)
以上より、日本ではCOVID-19パンデミックにより、不安症を除く精神疾患患者の入院が全体的に減少したことが明らかになりました。
参考文献:
Impact of COVID-19 on medical utilization for psychiatric conditions in Japan - ScienceDirect
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