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フライト中のマスク着用とコロナ感染リスク

8/4/2024 10:00:05

新型コロナ

今日のポイント:マスク必須の場合では長時間のフライトでも感染なし


フライト中のマスク着用とコロナ(COVID-19、SARS-CoV-2)感染の関係について調査しました。米国・スタンフォード大学からの報告です。(International Journal of Environmental Research and Public Health誌、2024年5月21日号)

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本研究では、PubMed、Scopus、Web of Scienceを使用し、2020年1月24日~2021年4月20日に発表されたCOVID-19と航空機感染に関連する研究のうち、SARS-CoV-2感染のインデックスケース(最初の感染者)がいることが確認されていて、フライト時間が明示されているものを対象としました。抽出されたデータには、フライトの特徴、乗客数、感染ケース数、フライト時間、マスクの使用状況が含まれました。フライト時間は、短距離(3時間未満)、中距離(3~6時間)、長距離(6時間超)に区分し、フライト時間と機内でのウイルス感染率の関係を負の二項回帰モデルを用いて分析しました。

・15件の研究が解析対象となり、これらの研究には、合計50便のデータが含まれました。
・50便のうち、26便が短距離(2~2.83時間)、12便が中距離(3.5~5時間)、12便が長距離(7.5~15時間)でした。うち、長距離の6便はマスク必須でした。
・50便のうち、35便では機内での感染がありませんでた(短距離20便、中距離7便、長距離8便)。うち、マスク必須の長距離の6便ではすべて機内での感染がありませんでした。
・15便で1 件以上の機内感染が報告されました。
・感染率は中央値0.67(四分位範囲[IQR]:0.17~2.17)、短距離では0.50(IQR: 0.21~0.92)、中距離では0.29(IQR:0.11~1.83)、長距離では7.00(IQR:0.79~13.75)でした。
・いずれもマスクが強制でない短距離、中距離、長距離のフライトの機内感染リスクを比較したところ、短距離フライトに比べて、中距離は4.66倍(95%信頼区間[CI]:1.01~21.52、p<0.0001)、長距離は25.93倍(95%CI:4.1~164、p<0.0001)の感染リスク増加と関連しました。
・フライト時間が1時間長くなるごとに、罹患率が1.53倍(95%CI:1.19~1.66、p<0.001)増加しました。

以上より、マスクが強制でない3時間未満の短いフライトと比較して、マスクが強制でない6時間以上の長いフライトでは感染リスクが26倍に及ぶことや、マスク必須の場合では長時間のフライトでも感染が報告されなかったことなどが判明しました。


参考文献:IJERPH | Free Full-Text | The Risk of Aircraft-Acquired SARS-CoV-2 Transmission during Commercial Flights: A Systematic Review (mdpi.com)

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