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肺がんに対する免疫療法とステロイド薬の併用で効果が減少?

9/4/2025 10:00:05

がん

今日のポイント:肺がんに対する免疫療法、ステロイド薬の使用で効果減

非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対しては、がんに関連した症状の軽減目的でステロイド薬が処方されることが多いです。しかし新たな研究で、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療開始時にステロイド薬を使用していると、ICIの治療効果が低下する可能性のあることが示されました。米南カリフォルニア大学(USC)ケック・メディシンからの報告です。(Cancer Research Communications、2025年7月7日)

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ICI単独、またはICIと他の治療法の併用のいずれかによる治療を受けたNSCLC患者277人(USCの患者189人、ロズウェルパーク総合がんセンターの患者88人)の医療記録を分析しました。これらの患者のうちの21人(8%)は、ICI開始時にステロイド薬を使用していました。ステロイド薬はがん患者の倦怠感や嘔吐、脳の腫れ、肺の炎症といった症状を軽減するために広く使用されており、免疫系を抑制することで炎症を軽減する作用があります。

・分析の結果、ICIによる治療開始時にステロイド薬を使用していることは奏効率の低下と関連することが明らかになりました。
・また、ICIによる治療開始時にステロイド薬を使用していた患者では、使用していなかった患者に比べて無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)が有意に短いことも示されました。
・さらに、ICIによる治療開始時のステロイド薬の使用はPFSとOSの独立した予後不良因子であり、ステロイド使用者では非使用者と比べて、病態の進行リスクが2.7〜4.3倍、死亡リスクが2.4〜3.2倍高くなりました。

以上より、肺がんに対する免疫療法ではステロイド薬の使用で効果減の可能性が示唆されました。


参考文献:
Impact of Glucocorticoids on Immune Checkpoint Inhibitor Efficacy and Circulating Biomarkers in Non–Small Cell Lung Cancer Patients - PMC

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