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帯状疱疹生ワクチンと認知症予防

6/1/2025 10:00:06

認知症

今日のポイント:帯状疱疹ワクチンの接種が認知症のリスクを低下させる可能性あり

帯状疱疹(HZ)ワクチンの接種と認知症のリスクの低下について調査しました。米国・スタンフォード大学からの報告です。(JAMA誌オンライン版、2025年4月23日

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オーストラリアにおけるプライマリケアの電子カルテ情報を提供している医療情報会社「PenCS」のデータを用い、2016年11月1日時点で50歳以上で、1993年2月15日~2024年3月27日にプライマリケア65施設を受診した患者10万1,219例を対象に、認知症の新規診断とHZワクチン接種との関連について解析しました。この65施設は、PenCSソフトウェアを使用しており、電子カルテのデータを研究に使用することに同意した施設でした。主要アウトカムは、追跡期間中(2016年11月1日~2024年3月27日)に新たに診断された認知症でした。回帰不連続(RD)デザインを用い、HZワクチン接種の生年月日適格基準である1936年11月2日以降に生まれた接種適格者と、それ以前に生まれた接種不適格者を比較しました。RDデザインでは、閾値周辺の帯域に分析を制限することに加えて、閾値(1936年11月2日)に最も近い日に生まれた人に最も高い重みが割り当てられます。

・10万1,219例のうち52.7%が女性で、2016年11月1日時点の平均年齢は62.6歳(SD 9.3)でした。
・このうち、主要解析の解析対象集団(平均二乗誤差の最適帯域である1936年11月2日の前後482週間に生まれた人)は1万8,402例で、54.3%が女性で、平均年齢は77歳(SD 4.7)でした。
・これら集団の接種適格者と不適格者で、ベースラインにおける過去の予防的医療の利用状況や慢性疾患既往歴に差はありませんでした。
・追跡期間においてHZワクチン接種を受ける確率は、適格基準日後1週間に生まれた接種適格者では、基準日前の1週間に生まれた接種不適格者と比べて16.4%ポイント(95%信頼区間[CI]:13.2~19.5、p<0.001)高いと推定されました。
・両集団は、HZワクチン接種確率を除けば、肥満、脂質異常症、高血圧、糖尿病、喫煙、降圧薬またはスタチンの使用や、HZワクチン以外のワクチン接種などの他の予防医療サービス利用の確率は類似していました。
・追跡期間7.4年間に新たに認知症と診断される確率は、接種適格者では不適格者より1.8%ポイント(95%CI:0.4~3.3、p=0.01)低くなりました。
・接種適格性について、他の予防医療サービスを受ける確率や、認知症以外の慢性疾患の診断を受ける確率への影響はみられませんでした。

以上より、帯状疱疹ワクチンの接種が認知症のリスクを低下させる可能性があることを示されました。


参考文献:
Herpes Zoster Vaccination and Dementia Occurrence | Vaccination | JAMA | JAMA Network

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