4回目接種、高齢者への効果は？

今日のポイント：重症化に対して特に有効
 

高齢者および基礎疾患を有する方を対象にワクチン4回目接種が開始されていますが、今回は4回目接種の高齢者に対する効果について調べた研究をご紹介します。カナダから発表された実際のデータに基づく報告です。(BMJ誌、2022年7月6日号掲載)

カナダ・オンタリオ州の療養施設626ヵ所において、2021年12月30日から2022年4月27日の期間に新型コロナウイルス感染症のPCR検査を1回以上受けた、60歳以上の入居者6万1,344例を対象にしました。また、1週間に少なくとも1回陽性となった入居者を症例とし、同じ週の検査がすべて陰性であった入居者を対照としました。以下結果です。

• 主要評価項目は、PCR検査で確認された新型コロナウイルス感染症オミクロン変異株の感染、入院または死亡としました。
• 年齢、性別、地域、併存疾患、検査実施週、90日以上前の新型コロナウイルス感染症陽性歴等で補正し、限界有効性（4回接種vs.3回接種）ならびにワクチン有効性（2回、3回および4回接種vs.未接種）を推定しました。
• オミクロン変異株の感染陽性者は1万3,654例、陰性対照者は20万5,862例でした。
• ワクチン接種後7日以上を経過した4回目接種の、84日以上経過した3回目接種に対する有効性は、症状の有無を問わない感染に関して19％、症候性感染が31％、重症化に対して40％でした。
• ワクチン接種者の未接種者に対するワクチン有効性は、追加接種ごとに増加し、4回目接種では、症状の有無を問わない感染に関して49％、症候性感染が69％、重症化に対して86％でした。

高齢者の重症化に対してワクチン4回目接種は特に有効性が高いようです。基礎疾患の有無なども考慮して、4回目を行うかどうか検討しましょう。

  
参考：Effectiveness of a fourth dose of covid-19 mRNA vaccine against the omicron variant among long term care residents in Ontario, Canada: test negative design study | The BMJ