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夜間照明で心疾患リスク上昇

12/11/2025 10:00:05

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夜間の光曝露による概日リズムの乱れと心血管疾患リスクの関係を調査しました。オーストラリア・フリンダース大学からの報告です。(JAMA Network Open誌、2025年10月23日号)

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昼夜の光曝露による心血管疾患発症の関連、および光曝露と心血管疾患関連に影響する因子(遺伝的感受性、性別、年齢など)を評価するため、前向きコホート研究を実施しました。UKバイオバンク参加者の心血管疾患の記録を9.5年間(2013年6月~2022年11月)にわたり追跡調査し、2024年9月~2025年7月にデータ解析を行いました。

光センサーは手首に装着するタイプで、約1,300万時間(各参加者の1週間分)から得られたデータを基に、光曝露環境をパーセンタイルで4グループに分類しました(最も暗い:0~50、やや明るい:51~70、比較的明るい:71~90、非常に明るい:91~100)。また、各疾患(冠動脈疾患、心筋梗塞、心不全、心房細動、脳卒中)の発症率データは、英国・国民保健サービス(NHS)より得たもので、疾患リスクをCox比例ハザードモデルで評価し、ハザード比(HR)を算出しました。

・研究参加者は、40代以上の成人8万8,905人(平均年齢±SD:62.4±7.8歳、女性:5万577例[56.9%])でした。
・夜間照明が非常に明るい環境の人(91~100パーセンタイル)は、最も暗い人(0~50パーセンタイル)と比較して、さまざまな疾患発症リスクが有意に高くなりました。
●冠動脈疾患…調整ハザード比(aHR):1.32、95%信頼区間(CI):1.18~1.46
●心筋梗塞…aHR:1.47、95%CI:1.26~1.71
●心不全…aHR:1.56、95%CI:1.34~1.81
●心房細動…aHR:1.32、95%CI:1.18~1.46
●脳卒中…aHR:1.28、95%CI:1.06~1.55
・これらの関連性は、既存の心血管リスク因子(身体活動、喫煙、アルコール、食事、睡眠時間、社会経済的地位、多遺伝子リスク)調整後も有意でした。
・夜間の光曝露と心不全(交互作用のp=0.006)および冠動脈疾患(交互作用のp=0.02)リスクとの関連は女性でより大きくなりました。
・また、参加者のうち若年者では、夜間の光曝露と心不全(交互作用のp=0.04)および心房細動(交互作用のp=0.02)リスクとの関連が大きくなりました。

以上より、夜間の光曝露は40歳以上の心血管疾患発症の有意な危険因子であることが示唆されました。


参考文献:
Light Exposure at Night and Cardiovascular Disease Incidence - PMC

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