title

イベルメクチンとコロナ

12/20/2021 9:30:02

新型コロナ

今日のポイント:コロナに対するイベルメクチンの治療効果と安全性は確立されていない


 コロナ治療薬の研究開発が世界中で進み、経口の治療薬が世の中に出回る日も現実味を帯びてきました。そんな中で以前より一部の方の間で使用されている【イベルメクチン】について現在の医学的な見解を現役医師の視点からお伝えします。

image

結論としては、
コロナ治療薬としてのイベルメクチンは安全性と治療効果が科学的に立証されていない
となります。

 そもそもイベルメクチンは寄生虫(ダニ)に対する治療薬で、その作用機序は無脊椎動物の神経・筋細胞にあるCl-チャネルに作用して、神経・筋細胞の過分極を引き起こし寄生虫を麻痺させ死滅させるというものです。

 in vitro(試験管内)レベルの研究では新型コロナウイルス感染症に対する治療効果の可能性が示唆されましたが、in vivo(生体内)レベル、特にヒトにおける科学的データは不十分と言わざるを得ません。細胞レベルで効果があったからヒトのレベルで効果があるとは必ずしもなりません。(細胞レベルで効果があったがヒトのレベルで効果がなかった、あるいは害が益を上回ってしまったという研究は世の中に五万とあります。。。)当然ながら、世の中でコロナに効果があると謳っているイベルメクチンの適切な服用量・服用間隔なども科学的根拠がないので、一部の方たちの間で非常に危険な使い方がされていると言わざるを得ません。

 特にイベルメクチンでは、重篤な副作用として【意識障害】が現れることが知られており、安易な自己判断での使用は注意しましょう。その他比較的軽症なものとして、悪心・嘔吐、めまい、掻痒感、下痢などの報告もあります。

 医薬品は医師の判断の下で適切に使用しなければ、程度は様々であるものの害が益を上回る場合があります。インターネットなどの情報は専門家の目を通っていないものが多々あるため、そのまま信用するのではなくあくまで参考程度に利用し、最終的には信頼できる専門家の意見を聞くことを推奨します。

 今後も現役の医師として皆さんのお役に立てるように正しい情報を発信していけたらと思っています。


参考:

この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓

PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村 病気ブログへにほんブログ村 病気ブログ 医者・医師へにほんブログ村 病気ブログ 新型コロナウイルス感染症へにほんブログ村 病気ブログ がんへ