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10年後の帯状疱疹生ワクチンは?

12/10/2023 10:00:05

その他

今日のポイント:10年後の帯状疱疹防御効果は15%程度か


帯状疱疹生ワクチン接種後の経時的な効果を調べた研究を紹介します。米国・Kaiser Permanente Vaccine Study Centerからの報告です。(BMJ誌、2023年11月8日号)

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接種後10年以上が経過した帯状疱疹の生ワクチンの有効性を評価する目的で、電子健康記録(EHR)を用いた実臨床コホート研究を行いました。解析には、米国の統合ヘルスケア提供システムであるカイザーパーマネンテ北カルフォルニアの2007年1月1日~2018年12月31日のデータを用いました。年齢50歳以上の150万5,647人を、937万9,685人年追跡しました。
 
主要アウトカムは、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、眼部帯状疱疹、帯状疱疹による入院の予防におけるワクチンの有効性としました。ワクチン接種からの時間の経過によるワクチンの効果の変化を、Cox回帰を用いて時系列に評価しました。
 
・150万5,647人のうち50万7,444人(34%)が帯状疱疹生ワクチンの接種を受けました。
・研究終了までに、60~69歳と80歳以上は60%以上が、70~79歳は80%以上がワクチン接種を受けましたが、50~59歳の接種率は5%未満と低くなりました。
・7万5,135人が帯状疱疹を発症し、このうち4,982人(7%)で帯状疱疹後神経痛、4,439人(6%)で眼部帯状疱疹を認め、556人(0.7%)が帯状疱疹により入院しました。これらのアウトカムに関するワクチンの効果は、以下のように、接種から1年間が最も高く、経時的に大幅に低下しました。
・ワクチンの帯状疱疹の発症に対する有効率は、1年目の67.2%(95%信頼区間[CI]:65.4~68.8)から10~<12年後には14.9%(5.1~23.7)へ、帯状疱疹後神経痛に対する有効率は、1年目の83.0%(78.0~86.8)から10~<12年後には41.4%(16.8~58.7)へと漸減しました。
・また、ワクチンの眼部帯状疱疹に対する有効率は、1年目は70.6%(95%CI:63.4~76.4)でしたが、5~<8年後には29.4%(17.9~39.2)へ、帯状疱疹による入院に対する有効率は、1年目は89.5%(67.0~96.6)であったが、5~<8年後には52.5%(24.5~70.1)へと低下しました。
・全追跡期間における全体のワクチン有効率は、帯状疱疹の発症に対しては45.7%(95%CI:44.5~46.9%)、帯状疱疹後神経痛では62.3%(59.1~65.2)、眼部帯状疱疹では44.5%(39.5~49.1)、帯状疱疹による入院では65.9%(55.3~74.0)でした。
 
以上より、50歳以上の帯状疱疹に対する生ワクチン接種は有効であり、その効果は接種から1年間が最も高く、その後は時間の経過とともに大幅に減少しますが、10年以降にも15%程度は残存することがわかりました。


参考:Effectiveness of the live zoster vaccine during the 10 years following vaccination: real world cohort study using electronic health records | The BMJ

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