【がん】【癌】【腫瘍】その違いは?
4/5/2022 9:30:03
今日のポイント:【がん】は【悪性腫瘍】とイコール!
がん、癌、腫瘍という言葉の違いを知っていますか?
がんとは悪性腫瘍全体を指す用語であり、上皮組織由来を表す癌とは使い分けられています。一方、腫瘍は良性・悪性ともに含む表現で、必ずしも悪性のみを表すものではありません。

こんな説明を聞いても???でしょうか(笑)
医学的にはきちんと使い分けられていますが、今日はわかりやすくをモットーに説明したいと思います。
【癌】とは、「からだの外と接している組織」ががん化したものを指します。専門的には上皮系と呼ばれる細胞ががん化した場合、【癌】と呼びます。
- 皮膚癌は最もイメージしやすいでしょうか。体の内部と外部を分けている組織ですね。
- 例えば、口や食道、胃、大腸などは、口から一つながりになっている組織です。口は外界と接している部分なので、口腔癌、食道癌、胃癌、大腸癌なども漢字表記になっています。また、膵臓や肝臓なども解剖学的には胃腸につながっているため、膵臓癌、肝臓癌となります。
- 乳腺組織も外界に接していますね(母乳は体の外に出るのをイメージすればわかりやすいでしょうか)。したがって、乳癌も漢字表記です。
【腫瘍】とは、細胞が異常に増殖した状態のことで、本来あるべき細胞の状態よりも多いということを指しています。したがって、その増殖した状態が人体に悪影響を及ぼしている場合でも(=悪性腫瘍)、そうでない場合でも(=良性腫瘍)、両方の意味を含みます。
- 血液のがんは血液腫瘍(造血器腫瘍)と言います。血液の特定の細胞が異常に増えた状態を指しています。また血液は体の外から触れませんよね?だから血液癌とは書きません。
- 脳の細胞ががん化しても脳腫瘍と言います。皆さんも脳癌とは聞いたことないと思います。
- 良性腫瘍は、大腸ポリープ、子宮筋腫、脂肪腫などが代表例です。痛みが生じたり、発生した組織に今後影響を与える場合などを除けば、必ずしも積極的な治療は必要ありません。
ここで腫瘍は、良性か悪性かの二通りに単純に分けられるわけではなく、良悪性という中間を意味するような考え方もあります。また、時間の経過とともに良性が悪性に変化することもあります。良性と判断されても定期的に病院で診てもらう必要があるのはこのためです。
【がん】=【悪性腫瘍】だと理解してください。したがって、【がん】には胃癌も大腸癌も食道癌も膠芽腫(脳腫瘍の一種)も悪性リンパ腫(血液腫瘍の一種)もすべて【がん】です。
したがって「国立がんセンター」は決して「国立癌センター」とは書きません。なぜならば【癌】という「からだの外と接している」細胞による癌だけを扱っているわけではなく、血液腫瘍や脳腫瘍なども扱っているからです。
今回は少々難しかったでしょうか?紛らわしいですね。少しでも言葉の違いを理解する助けになれば嬉しいです!
参考:
この記事が気に入ったらいいね・シェア!↓