砂糖入り飲料と慢性腎臓病
4/16/2024 10:00:05
今日のポイント:砂糖入り飲料を1日1杯(250mL)以上摂取すると慢性腎臓病のリスク上昇
砂糖入り飲料または人工甘味料入り飲料と慢性腎臓病(CKD)の発症リスクを調査しました。韓国・延世大学校医科大学からの報告です。(JAMA Network Open誌、2024年2月5日)
研究グループは、英国バイオバンクのデータを用いて、3種類の飲料(砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料、天然果汁ジュース)の摂取量とCKDの発症リスクとの関連、およびこれらの飲料を別の飲料に置き換えた場合の関連を調査するために前向きコホート研究を行いました。対象は、2006~10年に英国バイオバンクに登録し、食事アンケートに回答したCKDの既往歴のない参加者で、最長で2022年10月31日まで追跡しました。主要アウトカムはCKDの発症で、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて3種類の飲料とCKD発症との関連を推定しました。飲料を別の飲料に置き換えた場合の影響の評価には代替分析法を用いました。
・合計12万7,830人(平均年齢[SD]:55.2[8.0]歳、女性:51.8%)が解析に組み込まれました。追跡期間中央値10.5年(IQR:10.4~11.2)時点で、4,459例(3.5%)がCKDを発症しました。
・砂糖入り飲料を1日1杯(250mL)以上摂取している群では、砂糖入り飲料を摂取していない群と比較してCKDの発症リスクが有意に高くなりました(調整ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.05~1.34、p=0.01)。
・人工甘味料入り飲料を1日1杯以上摂取している群でも、人工甘味料入り飲料を摂取していない群と比較してCKDの発症リスクが有意に高くなりました(aHR:1.26、95%CI:1.12~1.43、p<0.001)。
・天然果汁ジュースの摂取とCKD発症との間に有意な関連はみられませんでした(aHR:0.99、95%CI:0.87~1.11、p=0.90)。
・1日1杯分の砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料を、天然果汁ジュースまたは水に置き換えることは、CKDの発症リスク低下と関連しました。
・砂糖入り飲料→天然果汁ジュース HR:0.93、95%CI:0.87~0.97、p=0.04
・砂糖入り飲料→水 HR:0.93、95%CI:0.88~0.99、p=0.03
・人工甘味料入り飲料→天然果汁ジュース HR:0.90、95%CI:0.84~0.96、p=0.03
・人工甘味料入り飲料→水 HR:0.91、95%CI:0.86~0.96、p=0.001
・砂糖入り飲料を人工甘味料入り飲料に置き換えても、CKD発症との有意な関連は認められませんでした。逆も同様でした。
以上より、砂糖入り飲料または人工甘味料入り飲料を1日1杯以上摂取することで、慢性腎臓病の発症リスクが上昇し、それらの飲料を天然果汁ジュースまたは水に置き換えるとCKD発症リスクが低下する可能性が示唆されました。
参考:Sweetened Beverage Intake and Incident Chronic Kidney Disease in the UK Biobank Study - PMC (nih.gov)
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