運動と化学療法による末梢神経障害回避の有効性
9/19/2024 10:00:05
今日のポイント:運動が化学療法による末梢神経障害の回避に有効
運動と、化学療法を受ける患者の多くが発症する化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の回避に関して調査しました。バーゼル大学(スイス)からの報告です。(JAMA Internal Medicine、2024年7月1日)

化学療法を受ける患者の70〜90%は、痛みやバランス感覚の問題、しびれ、熱感、ピリピリ感やチクチク感などのCIPNの症状を訴え、半数の患者は、がんの治療後もこのような症状が持続すると言われています。
今回の研究では、オキサリプラチン、またはビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍薬による化学療法を受ける158人のがん患者(平均年齢49.1歳、男性58.9%)を対象にランダム化比較試験を実施し、感覚運動トレーニング(sensorimotor training;SMT)と全身振動刺激(whole-body vibration;WBV)トレーニングがCIPNの発症や症状の低減に有効であるかどうかが検討されました。対象者は、SMTを受ける群(55人)、WBVトレーニングを受ける群(53人)、および、運動は行わずに通常のケアのみを受ける群(対照群、50人)にランダムに割り付けられました。介入群(SMT群とWBV群)は、1回当たり15〜30分間のトレーニングセッションを週に2回、化学療法が終了するまで受けました。
・ITT解析の結果、CIPNの発症率は、対照群で70.6%であったのに対し、SMT群では30.0%、WBVトレーニング群では41.2%であり、対照群に比べて介入群では有意に低いことが明らかになりました。
・この結果は、介入に75%を超えて参加した者のみを対象にしたPPS解析ではさらに顕著でした(対照群73.3%、SMT群28.6%、WBVトレーニング群37.5%)。
・また、2種類の介入のうち、より効果が高かったのはSMTで、SMT群では対照群よりも、開眼/閉眼で両足立ちでのバランスコントロール、片足立ち、振動感覚、触覚、下肢の筋力の改善、および痛みと熱感の軽減の程度が大きく、化学療法の投与量削減を受けた患者が少なく、死亡率も低くなりました。
以上より、運動をしなかった患者でCIPNを発症した者は、運動をした患者の約2倍に上ることが示されました。
参考文献:Preventive Effect of Neuromuscular Training on Chemotherapy-Induced Neuropathy: A Randomized Clinical Trial | Oncology | JAMA Internal Medicine | JAMA Network
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