小児期の短時間睡眠と将来の精神病発症リスク
8/22/2024 10:00:05
本日のポイント:小児期の睡眠障害で精神障害リスク上昇
小児期の短時間睡眠と若年期の精神病発症リスクを調査しました。英国・バーミンガム大からの報告です。(JAMA Psychiatry誌オンライン版、2024年5月8日号)

小児期における持続的な夜間睡眠時間の短さと、24歳時点での精神病体験(PE)および/または精神病性障害(PD)との関連、および炎症マーカー(C反応性蛋白[CRP]およびインターロイキン6[IL-6])が関連するかを検討するコホート研究を実施しました。
英国の出生コホート研究であるAvon Longitudinal Study of Parents and Childrenのデータを用い、6ヵ月、18ヵ月、30ヵ月、3.5歳、4~5歳、5~6歳、6~7歳の時点の夜間睡眠データを収集しました。24歳時にPEとPDをPsychosis-like Symptoms Interview(PLIKSi)で評価しました。RP値とIL-6値は9歳・15歳時に血液採取で測定しました。夜間睡眠時間の軌跡を検出するために潜在クラス成長分析(LCGA)を適用し、24歳時点の精神病転帰との縦断的関連についてロジスティック回帰を、CRP値とIL-6値が潜在的な媒体因子であることを検証するためにパス解析を行いました。データ解析は2023年1月30日~8月1日に実施しました。
・小児1万2,394例(女児6,254例[50.5%])、ロジスティック回帰とパス分析では若年成人3,962例(女性2,429例[61.3%])のデータが得られました。
・LCGAにより、小児期を通じて夜間の睡眠時間が4クラスに分けられました。持続的睡眠時間が最も短い群(301例[2.4%])は、24歳時のPD(オッズ比[OR]:2.50、95%信頼区間[CI]:1.51~4.15、p<0.001)およびPE(OR:3.64、95%CI:2.23~5.95、p<0.001)のリスクが有意に高くなりました。
・9歳時のIL-6値の上昇は、持続的な睡眠時間の短さとPD(バイアス補正推定値=0.003、95%CI:0.002~0.005、p=0.007)およびPE(バイアス補正推定値=0.002、95%CI:0~0.003、p=0.03)との関連を部分的に媒介していました。
・9歳時または15歳時のCRP値にこうした関連は見られませんでした。
以上より、小児期の短時間睡眠は将来の精神病リスクを上昇させる可能性が示唆されました。
参考文献:Role of Inflammation in Short Sleep Duration Across Childhood and Psychosis in Young Adulthood | Sleep Medicine | JAMA Psychiatry | JAMA Network
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