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スタチン治療患者の将来リスク予測因子

3/26/2023 10:00:03

その他

今日のポイント:心血管リスク、死亡リスクの予測因子はCRP>LDL-Cの可能性
 

米国・ブリガム&ウィメンズ病院より、脂質異常症に対するスタチン治療患者の新たな将来リスク予測因子の可能性が報告されました。(Lancet誌オンライン版、2023年3月6日号)

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アテローム性疾患を有する/高リスクでスタチン療法を受ける患者が参加する、3つの国際的な無作為化試験「PROMINENT試験」「REDUCE-IT試験」「STRENGTH試験」のデータを統合解析しました。スタチン治療を受ける患者の主要有害心血管イベント、心血管死、全死因死亡のリスクの決定因子として、高感度CRPとLDL-Cの相対的な重要性を評価しました。
ベースラインの高感度CRP(残留炎症リスクのバイオマーカー)の上昇と同LDL-C(残留コレステロールリスクのバイオマーカー)の上昇の四分位値を、将来の主要有害心血管イベント、心血管死、全死因死亡の予測因子として評価しました。年齢、性別、BMI、喫煙状況、血圧、心血管疾患の既往、無作為化された割り付け治療群で補正した分析で、高感度CRPとLDL-Cの四分位数にわたって、心血管イベントと死亡のハザード比(HR)を算出しました。

  • 統合解析には患者3万1,245例が包含されました(PROMINENT試験9,988例、REDUCE-IT試験8,179例、STRENGTH試験1万3,078例)。
  • ベースラインの高感度CRPとLDL-Cについて観察された範囲、および各バイオマーカーとその後の心血管イベント発生率との関係は、3つの試験でほぼ同一でした。
  • 残留炎症リスクは、主要有害心血管イベントの発生(高感度CRPの四分位最高位vs.最小位の補正後HR:1.31、95%信頼区間[CI]:1.20~1.43、p<0.0001)、心血管死(2.68、2.22~3.23、p<0.0001)、全死因死亡(2.42、2.12~2.77、p<0.0001)のいずれとも有意に関連していました。
  • 対照的に、残留コレステロールリスクの関連は、主要有害心血管イベントについては中立的なものでしたが(LDL-Cの四分位最高位vs.最小位の補正後HR:1.07、95%CI:0.98~1.17、p=0.11)、心血管死(1.27、1.07~1.50、p=0.0086)と全死因死亡(1.16、1.03~1.32、p=0.025)については弱いとされました。


以上より、スタチン療法を受ける患者において、高感度C反応性蛋白(CRP)で評価した炎症のほうがLDLコレステロール(LDL-C)値で評価したコレステロールよりも、将来の心血管イベントおよび死亡リスクの予測因子として強力である可能性が示されました。


参考:Inflammation and cholesterol as predictors of cardiovascular events among patients receiving statin therapy: a collaborative analysis of three randomised trials - The Lancet

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