うつ病歴と慢性疾患
4/24/2025 10:00:05
今日のポイント:うつ病歴は慢性疾患の発症を早める
うつ病歴と慢性疾患の関係を調査しました。英エディンバラ大学からの報告です。(PLOS Medicine、2025年2月13日)

UKバイオバンク参加者から抽出した17万2,556人を対象に、UKバイオバンク参加当時および追跡期間中のうつ病歴と慢性疾患との関連が検討されました。対象者は、2006〜2010年にUKバイオバンクに参加し(参加時の年齢は40〜71歳)、評価を受けていました。追跡期間は平均6.9年でした。慢性疾患については、血液がん、固形がん、心筋炎、冠動脈性心疾患、脳卒中、1型および2型糖尿病、高血圧、勃起不全、アレルギー性・慢性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、認知症など69種類を対象としました。対象者の17.8%に当たる3万770人がうつ病歴を持っていました。
・解析の結果、うつ病歴がある人はうつ病歴がない人と比べて、UKバイオバンク参加時に有していた身体疾患の数が多く(平均2.9個対2.1個)、また年間の新たな疾患の発症数も多いことが明らかになりました(平均0.20個/年対0.16個/年)。
・最も発生頻度の高かった疾患は、変形性関節症(うつ病歴ありの患者15.7%、うつ病歴なしの患者12.5%)、高血圧(12.9%対12.0%)、胃食道逆流症(13.8%対9.6%)でした。
・年齢、性別、社会経済状況を調整した上でも、うつ病歴のある人ではない人に比べて1.3倍の速さで新たに慢性疾患を発症することが示唆されました(率比1.30、95%信頼区間1.28〜1.32)。
・さらに、試験参加時の疾患数や生活習慣なども調整して解析すると、この差はやや縮まったものの、それでも依然としてうつ病歴のある人の方が有意に発症の早いことが確認されました(同1.10、1.09〜1.12)。
以上より、過去にうつ病と診断されたことがある人は、同年代のうつ病歴がない人に比べて中高年期に慢性疾患に罹患している可能性が高く、また、より早いペースで新たな慢性疾患を発症する可能性が示唆されました。
参考文献:
Depression and physical multimorbidity: A cohort study of physical health condition accrual in UK Biobank | PLOS Medicine
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