睡眠時間とNAFLD
8/8/2024 10:00:05
今日のポイント:短時間睡眠の女性はNAFLDの危険因子
睡眠時間と非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease;NAFLD)の関連を調査しました。福島県立医科大学からの報告です。(Internal Medicine、2024年4月23日)
2013年5月~2018年12月に福島県で2回以上の健診を受けた日本人を対象に縦断研究を実施しました。対象者は、1回目の健診時に33~86歳で、NAFLDを発症しておらず、B型肝炎抗原検査とC型肝炎抗体検査が陰性だった1,862人としました。そのうち男性は533人(年齢中央値65歳)、女性は1,329人(同64歳)でした。ピッツバーグ睡眠質問票を用いて睡眠時間を評価し、6時間未満、6~7時間未満、7~8時間未満、8時間以上に分類しました。NAFLDは腹部超音波検査で評価しました。
・追跡期間の中央値は男性が39カ月、女性が47カ月であり、全体で483人(25.9%)がNAFLDを発症しました。
・そのうち男性は159人(29.8%)、女性は324人(24.4%)でした。
・NAFLD未発症のベースライン時点の生活習慣要因について、NAFLD発症者と非発症者で比較すると、男女ともに、NAFLD発症者は現在喫煙者の割合が有意に高くなりました。
・男性では、NAFLD発症者の方が、睡眠薬を使用している人、間食習慣のある人、朝食抜きの人の割合が有意に高く、運動習慣のある人の割合が有意に低く、女性では、早食い人の割合がNAFLD発症者で有意に高くなりました。
・同様に睡眠時間を比較したところ、女性では、NAFLD発症者の方が非発症者と比べて、6時間未満の人の割合が有意に高くなりました(23.8%対17.8%)。
・一方、男性では有意な差は見られませんでした。
・女性について睡眠時間ごとに検討すると、6時間未満の人は7~8時間未満の人と比べて、NAFLD発症者の割合が有意に高くなりました(30.1%対21.2%)。
・次に、睡眠時間とNAFLD発症との関連について、影響を及ぼし得る要因(年齢、性別、BMI、血圧、睡眠薬の使用、喫煙・運動・食事などの生活習慣、AST、ALT、γ-GTP、トリグリセライド、LDL-C、HDL-C、尿酸、HbA1c)を統計学的に調整した上で、Cox比例ハザードモデルを用いて解析しました。
・その結果、睡眠時間が7~8時間未満の女性と比較して、6時間未満の女性におけるNAFLD発症のハザード比は1.55(95%信頼区間1.09~2.20)でした。
以上より、女性では短時間睡眠がNAFLDの独立した危険因子であることが明らかとなりました。
参考文献:Association between sleep duration and a new onset of nonalcoholic fatty liver disease (jst.go.jp)
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