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高齢者の身体活動量とコロナ発症・入院リスク

4/4/2024 10:00:05

新型コロナ

今日のポイント:身体活動量の高い高齢者はコロナ発症・入院リスクが低い

健康のための身体活動(PA)は、心血管疾患(CVD)、がん、2型糖尿病やその他の慢性疾患の予防や軽減に有効とされていますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症や入院のリスク低下と関連を調査しました。米国・ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院からの報告です。(JAMA Network Open誌、2024年2月13日)

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COVID-19パンデミック以前から実施されている米国成人を対象とした次の3件のRCTのコホートが利用されました。(1)CVDとがんの予防におけるココアサプリメントとマルチビタミンに関するRCT、65歳以上の女性と60歳以上の男性2万1,442人、(2)CVDとがんの予防におけるビタミンDとオメガ3脂肪酸に関するRCT、55歳以上の女性と50歳以上の男性2万5,871人、(3)女性への低用量アスピリンとビタミンEに関するRCT、45歳以上の女性3万9,876人です。
 
本研究の主要アウトカムは、COVID-19の発症および入院としました。2020年5月~2022年5月の期間において、参加者はCOVID-19検査結果が1回以上陽性か、COVID-19と診断されたか、COVID-19で入院したかを回答しました。PAは、パンデミック以前の週当たり代謝当量時間(MET)で、非活動的な群(0~3.5)、不十分に活動的な群(3.5超~7.5未満)、十分に活動的な群(7.5以上)の3群に分類しました。人口統計学的要因、BMI、生活様式、合併症、使用した薬剤で調整後、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19による入院について、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて非活動的な群とほかの2群とのオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定しました。
 
・6万1,557人(平均年齢75.7歳[SD 6.4]、女性70.7%)が回答しました。そのうち20.2%は非活動的、11.4%は不十分に活動的、68.5%は十分に活動的でした。
・2022年5月までに、COVID-19の確定症例は5,890例、うち入院が626例でした。
・非活動的な群と比較して、不十分に活動的な群は感染リスク(OR:0.96、95%CI:0.86~1.06)または入院リスク(OR:0.98、95%CI:0.76~1.28)に有意な減少はみられませんでした。
・一方、非活動的な群と比較して、十分に活動的な群は感染リスク(OR:0.90、95%CI:0.84~0.97)および入院リスク(OR:0.73、95%CI:0.60~0.90)に有意な減少がみられました。
・サブグループ解析では、PAとSARS-CoV-2感染との関連は性別によって異なり、十分に活動的な女性のみが感染リスクが低下している傾向がありました(OR:0.87、95%CI:0.79~0.95、相互作用p=0.04)。男性では関連がありませんでした。
・新型コロナワクチン接種状況で調整後に解析した場合も、非活動的な群と比較して不十分に活動的な群は、感染と入院のORはほとんど変化しませんでした。
・新型コロナワクチンは、PAレベルに関係なく感染と入院のリスクを大幅に減少させました。感染リスクはOR:0.55、95%CI:0.50〜0.61、p<0.001、入院リスクはOR:0.37、95%CI:0.30~0.47、p<0.001。
 
以上より、十分に活動的な高齢女性はコロナ発症・入院リスクが低いことが示唆されました。
 

参考:Prepandemic Physical Activity and Risk of COVID-19 Diagnosis and Hospitalization in Older Adults - PMC (nih.gov)

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