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コロナ禍と自殺念慮

6/4/2023 10:00:04

新型コロナ

今日のポイント:日本人では孤立感が自殺念慮の最大の原因


筑波大学より、コロナ禍における日本人の自殺念慮の要因について調べた研究をご紹介します。(BMJ Open誌、2023年5月15日号)

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「日本におけるCOVID-19問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS study)」の2回目のアンケートデータ(2021年2月8~26日実施)が用いられました。自殺念慮への社会的孤立、孤独感、抑うつ状態の影響度が、男女別に年代や経済状態などで調整して分析しました。分析には、20~59歳の男性6,436人、女性5,380人のデータが用いられました。

  • COVID-19流行時に自殺念慮があったのは、男性で15.1%、女性で16.3%でした。そのうち、初めて自殺念慮を抱いた人は、男性で22.8%、女性で19.8%でした。
  • 孤独を感じている群では、感じていない群よりも自殺念慮の保有率が男性で4.83倍、女性で6.19倍高く、コロナ感染(男性1.61倍、女性1.36倍)、収入減少(1.28倍、1.26倍)、生活苦(2.09倍、1.68倍)、社会的孤立(1.61倍、1.03倍)よりも強い影響がみられました。
  • 抑うつ状態の有無で調整すると、孤独感を感じている群の自殺念慮の保有率は男性3.60倍、女性4.33倍に低下しましたが、抑うつ状態のみの群(男性2.30倍、女性2.75倍)よりも高くなりました。
  • COVID-19流行時に初めて孤独感や自殺念慮が生じた群では、抑うつ状態の影響がより強くなりました。
  • 女性では、COVID-19流行時に悪化した孤独感と新たに生じた自殺念慮が最も強く影響していました。

 
以上より、コロナ禍では特に孤独感を抱いている人への心理的なサポートが自殺対策として重要です。


参考:Impact of loneliness on suicidal ideation during the COVID-19 pandemic: findings from a cross-sectional online survey in Japan | BMJ Open

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