公共の場でのマスク着用と呼吸器感染症の予防効果
9/29/2024 10:00:05
今日のポイント:公共の場でのマスク着用で有意に呼吸器感染症発症を予防
公共の場でのマスク着用と呼吸器感染症発症の予防効果を調査しました。ノルウェー・公衆衛生研究所からの報告です。(BMJ誌、2024年7月24日号)

研究グループは、ノルウェーの全国ネットのテレビ、ラジオなどを含むさまざまなメディアとデータ収集会社を通じて18歳以上の参加者を募集し、同意(オンライン同意書)が得られた参加者を、介入群および対照群に1対1の割合で無作為に割り付けました。介入群には、サージカルフェイスマスク(EN14683規格のタイプII/IIR)を無料で提供し、14日間にわたり不特定多数の人と接する公共の場(ショッピングセンター、街中、公共交通機関など)ではマスクを着用してもらいました(自宅や職場でのマスク着用については言及されなかった)。対照群では、公共の場ではサージカルフェイスマスクを着用しないよう指示されました。主要アウトカムは自己申告による呼吸器感染症に伴う呼吸器症状、副次アウトカムは、自己申告による新型コロナウイルス検査陽性、ノルウェー感染症サーベイランスシステムに登録された新型コロナウイルス検査陽性などで、評価者盲検で評価しました。尚、本試験は北欧の通常のインフルエンザシーズンである2023年2月10日~2023年4月27日に実施されました。
・同意書が渡された5,086例中4,647例が同意書を提出し無作為化されました。
・このうち同意撤回、18歳未満などを除外した4,575例(介入群2,313例、対照群2,262例)がITT解析の対象集団に組み込まれました。
・4,575例のうち女性は2,788例(60.9%)、全体の平均年齢は51.0歳(SD 15.0)でした。
・呼吸器症状を報告した参加者は、介入群では163例(8.9%)、対照群では239例(12.2%)、限界オッズ比(OR)は0.71(95%信頼区間[CI]:0.58~0.87、p=0.001)、絶対リスク差は-3.2%(95%CI:-5.2~-1.3、p<0.001)であり、介入群で有意に減少しました。
・自己申告による新型コロナウイルス検査陽性(限界OR:1.07、95%CI:0.58~1.98、p=0.82)、登録された新型コロナウイルス検査陽性(介入群でのイベントがないため、効果推定値と95%CIは算出不可)には統計学的な有意差は確認されませんでした。
以上より、呼吸器症状の報告は8.9% vs.12.2%となり、マスク着用により発生が有意に減少する結果となりました。
参考文献:
Personal protective effect of wearing surgical face masks in public spaces on self-reported respiratory symptoms in adults: pragmatic randomised superiority trial | The BMJ
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