遺伝性乳がん・卵巣がん症候群とは?② ~BRCA遺伝子編~
5/22/2022 9:30:03
がん
今日のポイント:BRCA遺伝子とは傷ついた遺伝子を修復してくれる遺伝子
前回は、乳がん・卵巣がんという大きな視点でBRCA遺伝子について考えていました。今日はBRCA遺伝子の細胞レベルでの役割について一緒に見ていきましょう。
われわれの身体の設計図であるDNAは常に傷を受け(飲酒、タバコ、紫外線、化学物質、加齢など)、その度に修復されています。この修復に関わる遺伝子の一つがBRCA遺伝子であり、誰もが持っている一般的な遺伝子です。ところがBRCA遺伝子が正常に働かず、傷ついたDNAの修復が適切に行われない場合、細胞が【がん化】し、若年のうちに乳がんや卵巣がんなどの悪性の細胞に変化してしまいます。また、この遺伝子は家族性に遺伝する遺伝子変異であり、50%の確率で男女関係なく遺伝します(常染色体優性遺伝)。

この遺伝子に変異があることで有効な治療薬も存在します。「PARP阻害剤」と呼ばれ、BRCA1/2変異をもつ細胞をターゲットに効果を発揮する薬剤です。血液や検体を用いてBRCA遺伝子に変異があるかどうか調べる検査を行い、そのため検査でBRCAの変異が確認されれば効果が期待できる治療薬です。主治医やがんゲノム医療の専門家が一人ひとりに最適な検査や治療法を提案してくれます。
参考:
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