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孤食と自殺の関係

9/17/2024 10:00:05

その他

今日のポイント:「孤食」の状態にある人は、自殺死亡のリスクが約2.8倍


日本の高齢者を対象に。孤食と自殺の関係を調査しました。日本福祉大学社会福祉学部からの報告です。(Social Science & Medicine、2024年4月号)

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日本老年学的評価研究の「健康とくらしの調査」に回答した、北海道・千葉・山梨・愛知・三重・長崎における要介護認定を受けていない65歳以上の人を対象に前向きコホート研究を実施しました。2010年にベースライン調査を開始、2017年まで追跡し、死亡した人の死因を人口動態統計に基づいて特定しました。社会的つながりの乏しさの指標については、孤食(一人で食事をすることが多い)、情緒的・手段的サポート授受の欠如(心配事などを聞いてくれる/聞いてあげる人や、病気のときに看病などをしてくれる人/してあげる人がいない)、社会的活動への不参加(ボランティアや趣味などのグループに参加していない)、友人との交流の欠如(知人・友人と会っていない)を調査しました。

・解析対象者4万6,144人(女性2万4,710人)のうち、7年間の追跡期間中に55人が自殺しました(10万人当たりの年間自殺率は18.96)。
・社会的つながりが乏しかった人や抑うつ傾向の人では、自殺率が高かった。
・ベースライン時の性別、年齢、教育年数、婚姻状態、世帯構成、等価世帯所得、治療疾患の有無の影響を考慮して統計解析を行った結果、孤食状態にあった人は、自殺リスクが2.8倍ほど高いことが明らかとなりました(ハザード比2.81、95%信頼区間1.47~5.37)。
・抑うつ傾向の影響を考慮しても、自殺リスクは約2.5倍でした(同2.49、1.32~4.72)。
・また、孤食により、年間1,800人程度の高齢者の自殺(年間の高齢自殺者の29%)が生じている可能性があると推計されました。

以上より、「孤食」の状態にある人は、自殺死亡のリスクが約2.8倍高い結果になりました。


参考文献:Social disconnection and suicide mortality among Japanese older adults: A seven-year follow-up study - ScienceDirect

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