洪水と死亡リスク

今日のポイント：洪水を経験した人は、災害後も死亡リスク上昇


洪水とその後の死亡リスクについて調べた研究を紹介します。モナシュ大学（オーストラリア）公衆衛生・予防医学部ならびに英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院などとの共同研究で行われました。（The BMJ誌、2023年10月4日）

2000年から2019年の間に1回以上の洪水に見舞われた、世界35カ国の761カ所のコミュニティの死亡データを入手して調査し、洪水を経験することと、あらゆる原因による死亡（全死亡）、心血管疾患による死亡、および呼吸器疾患による死亡との関連を時間の経過に沿って検討しました。

• 研究対象期間中に、全死亡が4760万件、心血管疾患による死亡が1110万件、呼吸器疾患による死亡が490万件生じていました。
• 全コミュニティにおいて、全死亡、呼吸器疾患による死亡のリスクは洪水の発生日から最長で60日目までそれぞれ2.1％（累積相対リスク1.021、95％信頼区間1.006〜1.036）と4.9％（同1.049、同1.008〜1.092）、心血管疾患による死亡は最長50日目まで2.6％（同1.026、同1.005〜1.047）増加していました。
• このような関連は国や地域などによって異なり、貧困な地域や高齢者の多い地域でのリスクが最も高くなりました。

 
以上、洪水を経験した人は、災害が起きている間だけでなく、その後も最長で60日にもわたって死亡リスクが上昇することが明らかになりました。


参考：Mortality risks associated with floods in 761 communities worldwide: time series study | The BMJ