アルツハイマー病患者と日常生活動作リスク因子
8/10/2023 10:00:04
認知症
今日のポイント:低い体格指数(BMI)、脳卒中、骨折を伴うと、ADL低下リスクが高い
アルツハイマー病(AD)患者と日常生活動作(ADL)低下の原因について調査しました。エーザイからの報告です。(Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版、2023年6月30日号)
日本の健康保険請求データベースより、AD患者の医療記録をレトロスペクティブに分析し、ADLレベルおよびADL低下と関連するリスク因子を特定しました。ADLの評価には、バーゼルインデックス(BI)を用いました。ADL低下のリスク因子は、年齢とBIによる傾向スコアマッチングを用いて、ADL維持群と低下群を比較することにより、性別ごとに分析しました。
- 対象は、日本人AD患者1万6,799例(診断時の平均年齢:83.6歳、女性の割合:61.5%)でした。
- 女性患者は、男性患者と比較し、高齢(84.6歳vs.81.9歳、p<0.001)、低BI(46.8 vs.57.6、p<0.001)、低BMI(21.0kg/m2 vs.21.7 kg/m2、p<0.001)でした。
- BI60以下の障害は、80歳以上で増加がみられ、女性のほうが有意に高くなりました。
- 入浴および身だしなみにおける障害が最も頻繁に認められました。
- 男性のADL低下は、BMI21.5 kg/m2未満、脳卒中、大腿骨近位部骨折と有意に関連しており、高脂血症との逆相関が認められました。
- 女性のADL低下は、BMI21.5 kg/m2未満、椎体骨折、大腿骨近位部骨折と有意に関連しており、腰痛との逆相関が認められました。
以上より、低いBMI、脳卒中、骨折を伴う日本人AD患者では、ADL低下リスクが高いことが確認されました。
参考:Nationwide Database Analysis of Risk Factors Associated with Decreased Activities of Daily Living in Patients with Alzheimer’s Disease - IOS Press
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