小児期の運動不足と心肥大について
7/11/2024 10:00:05
今日のポイント:運動不足だった子どもは成人後に心肥大の可能性
子どもの頃の運動量と若年成人期の心臓の大きさとの関係を調査しました。東フィンランド大学からの報告です。(European Journal of Preventive Cardiology、2024年5月7日)

本研究は、英国の子どもとその親を対象に行われている出生コホート研究(ALSPAC)のデータを用いた二次分析として行われました。平均年齢11.75±0.24歳の子ども1,682人(女児62.7%)を約13年間にわたって追跡しました。日常の運動量は、11歳、15歳、24歳の時点で加速度計を4~7日間、身に着けて生活してもらい把握しました。心臓の形態と機能については、17歳、24歳の時点で行った心エコー検査により、左室心筋重量係数(LVMI)や左室拡張能などを評価しました。
・研究参加者全体の座位行動時間を平均すると、ベースライン(11歳時点)が6時間だったものが、24歳時点では9時間となり、13年間で3時間増加していました。
・またLVMIは、17歳から24歳の7年間で平均3g/m2.7上昇していました。
・運動量とLVMIの変化との関連性を解析した結果、小児期からの座位行動の累積時間の長さは、性別や肥満の有無、血圧レベルにかかわらず、LVMIの上昇幅が最大40%増えることと関連していました。
・その反対に、小児期からの軽強度運動の累積時間の長さは、LVMIの上昇幅が最大49%減ることと関連していました。
・また、軽強度運動の累積時間が長いと、左室拡張能などの指標も良好だった。なお、小児期からの中~高強度運動の累積時間が長いことは、LVMIの上昇幅が最大5%増えることと関連していましたが、これは運動負荷に伴う生理的な変化と考えられました。
以上より、子どもの頃の運動量と若年成人期の心臓の大きさとの間に有意な関連があり、運動不足だった子どもは成人後に心肥大が見られる可能性が示されました。
参考文献:Accelerometer-based sedentary time and physical activity from childhood through young adulthood with progressive cardiac changes: a 13-year longitudinal study | European Journal of Preventive Cardiology | Oxford Academic (oup.com)
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