スタチンと片頭痛予防
4/8/2025 10:00:04
今日のポイント:スタチンは片頭痛予防に有効
スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)が片頭痛のリスクを低減し、予防治療として有効であるか調査しました。エジプト・Minia大学からの報告です。その結果、スタチンは片頭痛予防に有効であり、片頭痛頻度を有意に減少させることなどが判明した。(The Journal of Headache and Pain誌、2025年2月3日)

2024年10月までに公表された、HMG-CoA還元酵素(HMGCR)遺伝子と片頭痛リスクとの関連性、および片頭痛患者におけるスタチンの有効性に関する論文を、PubMed、Scopus、Web of Science、Cochrane Libraryを含む複数のデータベースで検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施しました。
・13件の研究(ランダム化比較試験[RCT]6件、観察研究:メンデルランダム化研究4件、コホート研究2件、クロスセクション研究1件)がシステマティックレビューに含まれました。
・メンデルランダム化研究では、HMGCRの発現が片頭痛のリスク増加と関連していることが認められました(オッズ比[OR]:1.38~1.55、p<0.001)。
・スタチンと片頭痛リスクの関連を調べた3件の観察研究では、スタチン使用が片頭痛リスクを低減しました(OR:0.73~0.94、p<0.001)。
・RCTのメタ解析では、スタチン群はプラセボ群と比較して、月間片頭痛発作頻度(MMF)が有意に減少することが認められました(平均差:-3.16回[95%信頼区間[CI]:-5.79~-0.53]、p=0.02、I2=79%)。
・スタチンは、とくに前兆を伴う片頭痛とビタミンD値が高い患者で、片頭痛リスクを大幅に低減させることが認められました。
・コホート研究によると、スタチン使用者の56.7%がトリプタン使用量を30%減少しました(OR:1.28、95%CI:1.19~1.38)。
・スタチンと他の薬剤との比較において、シンバスタチン(20mg)とプロプラノロール(60mg)の比較では、両方とも片頭痛を有意に減少させましたが、シンバスタチンのほうがより効果が大きくなりました(月間片頭痛日数[MMD]の平均差:-20.65日vs.-14.85日、p<0.001)。
・アトルバスタチン(40mg)とバルプロ酸ナトリウム(500mg)の比較では、両方とも片頭痛の頻度・強度・持続時間を減少させました。有害事象はアトルバスタチンのほうが少なくなりました(32%vs.66%)。
以上より、スタチンは片頭痛予防に有効であり、片頭痛頻度を有意に減少させることなどが判明しました。
参考文献:
Exploring the association between statins use or HMG-CoA reductase inhibition and migraine: a systematic review and meta-analysis | The Journal of Headache and Pain | Full Text
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