検診で寿命の延びるがん
9/12/2023 10:00:05
がん
今日のポイント:S状結腸鏡検査による大腸がん検診のみが寿命を延ばす可能性
乳がん検診のマンモグラフィ、大腸がん検診の大腸内視鏡検査・S状結腸鏡検査・便潜血検査、肺がん検診の肺CT検査、前立腺がん検診のPSA検査の6種類の検診について、検診を受けた群と受けなかった群で全生存率と推定寿命を比較し、研究報告しました。ノルウェー・オスロ大学からの報告です。(JAMA Internal Medicine誌オンライン版、2023年8月28日号)
検診を受けた群と受けなかった群を9年以上追跡し、全死亡率および推定寿命を比較した無作為化試験の系統的レビューおよびメタ解析を実施しました。論文の検索はMEDLINEおよびCochrane libraryデータベースで2022年10月12日まで実施しました。検診を受けた群と受けなかった群でみられた生存期間の差を検診による寿命の増加とし、各検診による寿命の増加日数と95%信頼区間(CI)をメタ解析または単一の無作為化試験から算出しました。
- 計211万1,958人が対象となりました。
- 追跡期間中央値は、CT検査、PSA検査、大腸内視鏡検査で10年、マンモグラフィで13年、S状結腸鏡検査、便潜血検査で15年でした。
- 検診で寿命に有意な増加がみられたのはS状結腸鏡検査のみでした(110日、95%CI:0~274日)。
- マンモグラフィ(0日、95%CI:-190~237日)、PSA検査(37日、95%CI:-37~73日)、大腸内視鏡検査(37日、95%CI:-146~146日)、毎年または隔年の便潜血検査(0日、95%CI:-70.7~70.7日)、肺CT検査(107日、95%CI:-286~430日)において有意差はみられませんでした。
以上より、S状結腸鏡検査による大腸がん検診を除き、一般的ながん検診による寿命延長を証明できないことが示唆されました。
参考:Estimated Lifetime Gained With Cancer Screening Tests: A Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials | Cancer Screening, Prevention, Control | JAMA Internal Medicine | JAMA Network
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