糖尿病合併症リスクと性別差
8/15/2024 10:00:05
今日のポイント:男性の糖尿病患者の方が糖尿病合併症リスクが高い
糖尿病患者の合併症リスクと性別差を調査しました。シドニー大学(オーストラリア)からの報告です。(Journal of Epidemiology & Community Health、2024年5月16日)
参加登録時点で糖尿病を有していた45歳以上の成人2万5,713人(男性57%)を17万7,851人年追跡。結果に影響を及ぼし得る因子(年齢、BMI、野菜・果物の摂取量、喫煙・運動習慣、教育歴、保険の種類、糖尿病の家族歴、心血管疾患の既往歴、高血圧・高コレステロール血症の治療歴など)を調整したCox比例ハザードモデルにより合併症のリスクを解析しました。
・CVDの罹患率は男性が1,000人年当たり43、女性が30で、女性に対する男性のハザード比(HR)は1.51(95%信頼区間1.43~1.59)、腎臓の合併症の罹患率は男性36、女性26でHR1.55(同1.47~1.64)、下肢の合併症は男性25、女性18でHR1.47(1.38~1.57)であり、いずれも男性が有意にハイリスクでした。
・一方、眼の合併症に関しては罹患率が男性52、女性53でありHR0.94(0.89~0.98)と、女性の方がハイリスクでした。
・ただしこれは主に、白内障手術の施行が男性患者で少ないことの影響によるものであって〔HR0.90(0.86~0.95)〕、糖尿病網膜症のリスクは男性の方が有意に高くなりました〔HR1.14(1.03~1.26)〕。
・糖尿病罹病期間(10年未満か以上か)は、合併症リスクに性差があるという本研究の結果に、実質的な影響を及ぼしていませんでした。
以上より、男性の方が女性よりも糖尿病合併症リスクには注意が必要です。
参考文献:Sex differences in risk of incident microvascular and macrovascular complications: a population-based data-linkage study among 25 713 people with diabetes | Journal of Epidemiology & Community Health (bmj.com)
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