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風邪の予防/治療と亜鉛の関係

7/14/2024 10:00:05

その他

今日のポイント:亜鉛は風邪予防に効果なし


風邪症候群の予防や症状持続期間の短縮に関して、亜鉛の効果を調査しました。Maryland University of Integrative Healthからの報告です。(The Cochrane Database of Systematic Reviews誌、2024年5月9日号)

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研究チームは、風邪症候群や上気道感染の予防または症状改善に関する亜鉛の効果をプラセボと比較した無作為化比較試験を検索しました。検索には、CENTRAL、MEDLINE、Embase、CINAHL、LILACSを用い、2023年5月22日までに登録された試験を抽出しました。また、Web of Science Core Collectionや臨床試験登録システムへ2023年6月14日までに登録された試験も検索しました。エビデンスの確実性はGRADEを用いて評価し、有害事象についても調べました。

・システマティック・レビューの結果、34試験(予防:15試験、治療:19試験)に参加した8,526例が対象となりました。
・22試験が成人を対象としたもので、12試験が小児を対象としたものでした。

予防目的での使用
・風邪症候群の発症リスクは、プラセボと比較してほとんどまたはまったく低下しない可能性があります(リスク比[RR]:0.93、95%信頼区間[CI]:0.85~1.01、I2=20%、9試験[1,449例]、エビデンスの確実性:低い)。
・風邪症候群を発症した場合、症状持続期間はプラセボと比較してほとんどまたはまったく短縮しない可能性があります(平均群間差:-0.63日、95%CI:-1.29~0.04、I2=77%、3試験[740例]、エビデンスの確実性:中程度)。
・有害事象の発現リスクの違いは不明です(RR:1.11、95%CI:0.84~1.47、I2=0%、7試験[1,517例]、エビデンスの確実性:非常に低い)。
・重篤な有害事象の発現リスクの違いも不明です(RR:1.67、95%CI:0.78~3.57、I2=0%、3試験[1,563例]、エビデンスの確実性:低い)。

治療目的での使用
・風邪症候群の症状持続期間は、プラセボと比較して短縮する可能性があります(平均群間差:-2.37日、95%CI:-4.21~-0.53、I2=97%、8試験[972例]、エビデンスの確実性:低い)。
・非重篤な有害事象の発現リスクは、プラセボと比較して増加する可能性があります(RR:1.34、95%CI:1.15~1.55、I2=44%、16試験[2,084例]、エビデンスの確実性:中程度)。
・重篤な有害事象に関する報告はありませんでした。

以上より、亜鉛には風邪症候群の予防効果はないことが示唆されましたが、症状持続期間を短縮する可能性が示されました。


参考文献:Zinc for prevention and treatment of the common cold - Nault, D - 2024 | Cochrane Library

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